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肝芽腫の会2

『肝芽腫の会』では交流会という情報交換の場を定期的に設けているんですが、会の方たちが初めて応援に来てくださった試合の翌月にあった交流会に、俺は初めて参加させてもらいました。そして同じ年の10月にも、ほんの少しだけ顔を出させていただき、その次は2008年の3月、そして先週の土曜日と、これまでに4回参加させてもらってきました。

この4回って、結果的には今回もそのような形になってしまったんですが、いずれも俺が試合で良い結果を出した後なんですね。

やはり、もともと「俺と同じ病気と戦う人たちの力になれれば」という気持ちから会の方たちとの交流を始めたので、会の皆さんの前ではカッコつけていたいという思いがあり、自分が本業で調子のいいときしか会に足が向かなかったというのが正直なところで。2回目の2006年10月はPRIDEウェルター級GPの決勝戦を目前に控えた時期だったし、その次の2008年3月はUFCの初戦で勝利を収め、これまでで一番の大金を手にした後だった。そういう調子のいいときであれば普通に会に参加できたんだけど、例えば怪我による長期欠場中で自分の気持ちが滅入っているときや、試合に負けた後だと、ちょっと恥ずかしいとか、そんなときに会の皆さんの前に顔を出してもカッコつかないよなぁという、そんな理由でなかなか会に足が向きませんでした。

でも、これもやっぱり8月のKO負けの後に一人で色々と考えているときに、そんな自分の『肝芽腫の会』に対するスタンスにも大いに疑問を持つようになって。

会には、肝芽腫を克服して今は中学生になっている男の子もいるんですが、やっぱり俺の中には、自分と同じ病気の、若しくはそれを経験した子供たちのヒーローになりたいという思いがあるから、その子の目に自分がどう映るかっていうのはかなり意識してしまう。でもそのヒーロー志望、ヒーロー気取りの男がですよ、自分をカッコ良く見せるように一生懸命取り繕っているようなヤツでいいのかと思ったら……それはダメだろうと。俺が逆の立場だったら、そんなオッサンをヒーローだなんて、ちょっと思えないですからね。

それに中学生って非常に多感なお年頃で、異性の目も気になり始めるじゃないですか。で、その頃って、一部のモテ男や花形運動部の中心的存在によって構成されている、いわゆるオマセさんグループに属していないヤツらって、大なり小なり劣等感を持っていると思うんですよ。俺も間違いなくそんな中学生だったし、そんな子たちに対しては、飾った自分でいるよりも、ありのままのちょっとカッコ悪いオッサンが頑張ってカッコ良くなっていく過程を見てもらったほうが(俺の人生に於ける不変の目標は「いい男になりたい」だからな!)、何かを感じてもらえるんじゃないかと思ったりもしました。そう思えば、俺自身もそれをモチベーションに「いい男」への道を一生懸命頑張って歩こうって思えるし、それに、そもそも俺の目指す「いい男」って、カッコ悪いところも含めて、自分の全てを曝け出しても平気なくらい自分に自信を持てるような、そんな男でしたからね。

と、8月に長時間にわたって意識を失う程の非常に強い衝撃を受け、もしかしたらそのお陰で回転力が上がったのかも知れない俺の脳はそんな結論を導き出し、当初10月に予定されていた会に、3連敗中でちょっと恥ずかしいけど、ありのままの自分で参加させてもらおうと思っていたんですが、会自体が都合で12月に延期となり、結果として、また試合に勝った後に参加することになってしまいました。試合に勝ったのは勿論とても嬉しいことなんだけど、どん底の状態で会に参加するということができなかったのはほんの少し残念だったり。やっぱり会の皆さんとの会話の中で「次の試合はいつなんですか?」って聞かれたら、「もしかしたら大晦日にあるかも知れません」「うわー、頑張ってくださいね!」「デヘヘ、頑張りまぁす☆」なんてやりとりになって、う~ん、これで良かったのかな?なんて思っちゃいましたしね。

それともうひとつ、会になかなか足が向かなかった理由として、自分が会に参加する資格があるのかな、と結構悩んだ時期がありました。

俺は運良く一命を取りとめ、今もこうして元気に生活することが出来ていますが、会にはお子さんを亡くされた方もいらっしゃいます。それを思うと、俺は本当に運が良かったんだと、こうして生きていられることに感謝の気持ちを感じたり、俺は生かされているのかも知れない、ならばこの命の炎を力の限り燃やして悔いのない人生を送らなきゃ!なんて思ったりしたんですが、あろうことか会の皆さんの前でそれをポロッと口にしたことがあったんです。それを聞いて、お子さんを亡くされた方や、いままさにお子さんが厳しい闘病の真っ只中にいる方はどう思われただろうかということに後になって気付き、自分のデリカシーの無さに猛烈に情けなさと恥ずかしさを覚えました。

自分より恵まれない境遇にある人と比べて自分の幸せを確認するという行為は、幸せの感じ方としては最低のものだと常々思っていましたが、気が付けばそう思われても仕方のない行為を自分がしているじゃないかと、そのことに気付いたときはかなりショックで、そんな俺に会に参加する資格なんて無いんじゃないかと考え、それを自分の胸のうちに留めておくことができずに会の代表の方に相談しました。代表の方はそんな俺に対して、そんなことはないからこれからも会に参加してくださいと言ってくださったばかりか、俺を気遣って、俺が会に参加しづらくならないような色々なお話を一緒に添えてくださり、それを読んだときには本当に救われた思いがして、少し、胸の痞えが取れたような気がました。そして時間が経って気持ちの整理が付いてくると共に、また会に参加してみようと思うことができるようになったんですが、ヒーローになりたいとか、そんな軽い動機のまま、安易に参加していた俺がどれだけ甘かったのかということを勉強させてもらいました。

 

と、ここまでまた非常に長くなってしまったけど、それでもまだ書き終わらない……。ここまで読んでくださった方、前回に続いて辛抱強く長文駄文にお付き合い頂き、本当にありがとうございます。次回の更新で、今回、会に参加して思ったこと、感じたことを書いて、この項の最後としたいと思いますので、もう一回だけお付き合い頂けたら幸いです。

 

そういえば、前に書いた女王様、そう、クイーンサイズのマットレスが週明けにようやく届きました!新しいボックスシーツ(もちろんお気に入りのパイル地!もうコレじゃなきゃ眠れない!)や、その下に敷く防水シートも揃えて部屋の模様替えに取り掛かったけど、俺一人の手では、これまで使っていた蝉蝉、そう、セミダブルのマットレスを他の部屋に移動させることすらできず、今日の練習後にGRABAKAのユーティリティープレイヤー・ヒデ小池の手を借りて模様替えをしました。てことで、今宵より毎晩、女王様と夜を共にさせていただきます。って、ちょっと卑猥な響きJamaica?

写真は女王と酸素カプセルだけで埋まってしまったお部屋。う~ん、プロフェッショナルJamaica!

寝室


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郷野 聡寛(ごうのあきひろ)
体格:176cm 78kg(試合時体重70kg)
経歴:第4代全日本キックボクシング連盟ヘビー級王者、PRIDEウェルター級GP2006第3位
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