ブラジルの格闘技サイトの記事の日本語訳

大変遅くなりましたが、5月の試合前にブラジルの格闘技サイトに掲載された、私の記事の日本語訳です。

 

試合前はプレッシャーと減量のシンドさでパソコンの前に座る余裕が無かったけど、その試合も無事終わったので、超長文を一気に仕上げました。

 

それにしても、最後のベンケイの郷野評は、買い被り過ぎにも程があるのでは?というくらいで、自分で書いててこっ恥ずかったんですが……汗

 

でも気合いで全て訳して書きました。笑

 

郷野史上最長クラスに相当長いので、ひとつ、ごゆるりとお願い致します。

 

では、どうぞ。



~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 

 

39歳の日本人、郷野聡寛ほど、これまでに多くのビッグネームたちと戦ってきた例は、なかなか少ないだろう。

 

これまでの50戦以上のキャリアの中で戦ってきた相手には、マット・ヒューズ、チェール・ソネン、ダン・ヘンダーソン、ムリーロ・ニンジャ&マウリシオ・ショーグン兄弟、ヘクター・ロンバード、ゲガール・ムサシといった、錚々たる顔ぶれが含まれている。

 

しかし2010年以降、勝ち星から見放された郷野は、トレーニング環境の劇的な変化を必要とし、ブラジル南部の町グラマドにある、アンドレ・ベンケイ率いるOxygym Fight Teamへとやってきた。

これまでに数々の強豪選手を生み出してきた日本格闘技界だが、現在のMMAに於いて必要とされているトレーニングの全てを行える環境が整っているとは言えず、それが郷野をブラジルに移り住む決断をさせた理由のひとつでもあったのだが、

その主な理由は、2010年から始まった、彼にとっての公私共に於ける悲劇にあった。

4年前、3連勝中だった郷野の元にUFCから、契約も可能だとの知らせが、ひとつの条件と共に届いた。

 

それはウェルター級(77kg)からライト級(70kg)へと階級を下げること。

郷野は階級を下げることを決め、何戦か日本で70kgでの試合を経験してからUFCへ行こうと計画したが、その減量が、彼を人生最悪の事態へと追い込んで行った。

「階級を下げての初戦が、いきなりUFCではキツイだろうと思ったので、何戦か日本で経験して、それからUFCに行こうと計画を立てました。でも、減量の指導を受けたトレーナーのメニューが、今思えば俺にとっては最悪なものでしたね。1日に取る総カロリー量があまりにも少なくて、それで心と身体、両方の健康を失ってしまいました。そんな状態だから当然、ライト級での初戦にも負けてしまい、それが連敗と、そして引退への始まりだったんです」

調子が落ち、良いパフォーマンスを発揮できなくなるような食生活は、彼のトレーニングだけでなく、人間関係にも悪影響を及ぼした。郷野は完全に性欲を失い、18ヶ月にも渡って女性と関係を持たない日々を送り、故に、彼女に別れを告げられてしまった。

「そのxxみてぇなダイエットを始める前は性欲の塊みたいなモンだったのに、それが完全に無くなって、性欲の塊から、女に一切興味の無い男になってしまって……。当然、それが彼女との関係に良いハズなんてないよね。だから別れたんだ。と言うか、フラれたよ。俺は心身の健康、勝ち星のほかに、彼女も失ってしまったんだ」

時を同じくして、ライト級に階級を下げる前、郷野は長らく所属していたGRABAKAに不満があり、そこを離れた。

そして、その間違えたダイエットによって、郷野はうつ病になった。日本語で「ダイエットうつ」というもので、十分な栄養を取っていないが故に引き起こされるうつ病だ。

郷野は2連敗を喫し、UFC復帰の夢は消えた。

そのように、新しい階級で連敗を喫していた郷野だったが、2012年、Bellatorから声が掛かった。ノンタイトル戦ながら、相手はライト級王者のマイケル・チャンドラー。

うつ病に掛かり、将来に希望を見出せなくなっていた郷野は、チャンドラーとの試合を彼のキャリアの最後にしようと、その試合のオファーを受けることにしたが、彼の本当の望みは、試合の前に彼の人生が終わることだった。

「うつ病になっていたとき、自分の未来に光なんてこれっぽっちも見えなかった。未来への希望も、生きる理由も無くなっていた。症状は2012年に入った頃から酷くなって、もうこのままではMMAを続けていくのは無理だなって思ったから、その試合を最後に、MMAから身を退こうと決めたんだ。そうやって試合が行われるカナダへ向かったんだけど、そのときの一番の望みはね、本当は飛行機が落ちて欲しかったんだ。そうすれば試合しをないで済むし、死ねるし。でも、何も起こらなかった。

試合は……俺にとって物凄く恥ずかしいもので、相手にとっては間違いなく、これまでで一番楽な試合だったろうね。そしてその試合の後に、引退を表明したんだ」

Bellator67で行われたその試合は、チャンドラーが56秒で郷野をTKOに下した。

MMAからは引退したものの、以降も何試合か70kgの階級で、郷野はキックボクシングの試合への出場を続けたため、ダイエットも続けていた。彼がそれを止めたのは2012年12月のこと。セラピストである友人から、LOH症候群という、体内のテストステロンレベルの下がっている病気だと告げられてのことだった。

そのアドバイスによって、それまで続けてきたダイエットをようやく止めた彼は、以前のようにしっかりと食べ、筋量を戻すべくトレーニングを重ねた。そして8ヵ月が経った頃、心身の復調を感じ、MMAに77kg級で復帰したが、日本のDEEPで2試合行い、1敗1分だった。

その結果を見たDEEPの代表は郷野に対し、完全に引退するよう説得を試みたが、彼はそれを拒否した。

 

「PRIDEやUFC、戦極の頃の俺なら、去年の対戦相手二人に対して苦労することなく勝っていたに違いない。でもそれが出来なかったということは、俺にはもう以前のような力は無くなっているということだと。それが引退勧告の理由でした。

 

同時に、セカンドキャリアに繋がるような引退までの手順も示してくれて、ありがたい心遣いだとは思ったけど、でも、俺は引退には納得できなかったんだ。4年近く掛けて失ったものを、どうやったらほんの半年やそこらで取り戻せるんだっていう話でさ。俺にはもっと時間が必要なハズなんだ」

 

引退勧告を拒否した郷野に、日本で戦い続ける選択肢は無くなった。

 

「俺は全てを失ってしまった。心身の健康に始まり、彼女も、車も、貯金も、住んでいた部屋も、それにスポンサーも。選手としての評価も地に落ちて、代わりに手にしたものと言えば、うつ病と引退勧告だったというね。そして引退勧告を拒否して、日本での選手としての居場所もなくなったよ」

 

捨てる神あれば拾う神あり。時を同じくして、アンドレ・ベンケイは郷野を彼のジム、ブラジルはグラマドのOxygymへと誘った。ベンケイは郷野に、トレーニングはもちろんのこと、住む家も、何かあった際のメディカルケアも、そしてブラジルまでの航空券も用意するからこっちに来ないかと声を掛けた。

 

郷野は少し考えたが、程なくして仕事を辞め、ブラジルへと渡ることを決意した。

 

「ベンケイが、ブラジルに来いよ、一緒にトレーニングして、もう一度UFCを目指そうってFacebookでメッセージをくれたんだ。でも、俺はもう格闘技だけでは食えなくなっていて、他に仕事を持っていたから、

 

『ごめんベンケイ、せっかくだけど、いま仕事を持っていて、それを辞めるワケにはいかないから、そっちには行けないよ』

 

って答えたら、

 

『そんなこと言わないで、もっと俺を頼ってくれよ。航空券も、こっちのスポンサーに用意してもらう。だからこっちに来るんだ。いつ来られるか教えてくれ』って。

 

そこまで言われたら、もう行くしかないよね。次の日には、そのとき持っていた仕事の社長に、最後にもう一度格闘技を頑張りたいからブラジルに行きます、だから辞めますって伝えたよ。

 

ベンケイはそのとき、日本で俺に何が起こっていたのかは何も知らなかったんだけど、本当に、「運命」と言ってもいいんじゃないかってくらいに、これ以上ないタイミングだった。そして3月7日にブラジルに来て、Oxygymでのトレーニングを始めたんだ」

 

郷野は今、5月1日に開催される「The Hill Fighters」でのEduardo Garvon戦に向けての最終調整に入っている。契約体重は73kg。彼はまだブラジルでの生活には苦労しているが、試合で再び勝利するという希望とともに頑張っている。

 

「ここでの生活やトレーニングに慣れるのは本当に大変だったけど、もう日本には俺の帰る場所がないからね。だから、いくらシンドくても、日本に帰るという選択肢は俺の中にはなかったんだ。本当に苦しい1ヶ月だったけど、でも1ヶ月を過ぎた頃から少しずつ慣れてきて、今ではもうここを、4年の苦しい道のりを経て、ようやく見つけた俺の新しい居場所だと思えているよ。

 

まだまだ昔のような動きには程遠くて、ここの若い選手たちに毎日やられてばかりいるけどね。でも、失ったものを取り戻す旅はまだ始まったばかり。落ち込んでいる暇はないんだ」

 

1994年からスタートした格闘技選手生活の中で、彼はパンクラス、PRIDE、UFC、そしてベラトールと、数々の世界的メジャーイベントに出場してきた。40歳を目前に控えた今、彼は選手生活を終えることは考えておらず、もう一度、アメリカのメジャーイベントで戦いたいという希望を持っている。

 

「もう一度UFCで戦いたいよね。そして、そこで勝ちたい。もう一度パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを取れたりしたら、もう言うことないよなぁ。そしたら今度こそ、悔いなく引退できると思う(笑)」

 

日本格闘技界は、UFCでの日本人スターが生まれることを待ち望んでいる。

 

郷野をもう一度輝かせようとしているアンドレ・ベンケイだが、郷野をブラジルに誘ったときに、日本で彼に何が起きていたのかは全く知らなかった。だが、日本の格闘技界が上手く行っていないことは知っていた。そしてベンケイは、郷野のようなベテランの復活こそが、日本の若い選手たちの刺激になると信じている。

 

ベンケイと郷野は2006年、郷野が当時のベンケイの教え子であったデニス・カーンと、PRIDE武士道GPの準決勝で戦ったときに初めて会った。カーンより遥かに小さく、そしてフィジカルも弱い郷野が、カーンの上腕二等筋を破壊するまでに健闘したことが、ベンケイにはとても印象に残った。それ以降、ベンケイと郷野は交流を持つようになり、今、ベンケイは郷野こそが、日本格闘技界を再活性化させることのできる一人であると考えている。

 

「郷野は間違いなく、UFCで戦っていけるスタイルの持ち主だ。問題はケージでの戦い方を知らないことと、自分に合った階級で戦っていないということだ。私の考えでは、彼はUFCでもう一度戦うための正しい努力をしないままに引退すべきではない。なぜなら私の愛する日本格闘技界には、彼が必要なハズだからだ。彼は日本の若い選手たちの手本となるだろう」

 

そして新しい言語と、日本より遥かに遅れたテクノロジーの中での生活のほかに、郷野はレスリングと柔術にも慣れていかなければならない、とベンケイは言う。

 

「郷野をギを着たブラジリアン柔術に慣れさせるため、柔術コーチのエドソン・ジニスに指導させているよ。郷野はこれまでにしてきたトレーニングとは全く別のことをしなければならない。中でも特に、ケージレスリングだ。日本人にとって、それはとても難しいことだ。彼らは自分たちのやり方を変えようとはしない。彼らがこれまでにやってきたことを、更に伸ばそうとするだけだ。それでは新しい道は開けないし、新しい可能性も生まれない。郷野には、この先に必要なもの全てを授けているよ」

 

「バランスの魔術師」の異名を取るほどに栄養学の専門家として知られているベンケイは、ファイターへの減量指導を得意とし、今は郷野を次の試合の契約体重である73kgへと減量させているが、彼の最終的な計画は、この日本人選手が最も力を発揮できるであろう、UFCのフェザー級へと導くことだ。

 

「日本の人たちは減量のやり方を分かっていない。故に、郷野はとんでもないダメージを心身に負ったんだ。彼のゴールは70kgで試合をすることだったけど、もう今は違うよ。これまでに彼がしてきたハードなトレーニングが報われ、幸せになるべくUFCに戻るには、65kgだ。そうすれば、日本を代表するトップコンテンダーになるだろうね」

 


コメント (6件)

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  1. 今までの事を回想しながら何度も読ませて頂きました
    所謂、心が汗だくです

    兄さんはライト級が適正かなと思ってましたが身長の事を考えたらフェザー級も不可能ではないと信じたくなりました!
    期待してます!

  2. 色々大変だったんですね。それでもブラジルに渡り必死で頑張ってる今の郷野さん、すごくカッコ良く感じます

  3. 頑張ってるんだなぁ。
    生き生きしてると毛も元気だね。

    • この髪の毛ネタ、そしてこの名前・・・
      もしや・・・

  4. ブログ読んで禿みに、いや励みになったからコメしてしまった。
    地球の裏側で毛のことも気にしている奴がいることを忘れてはいけないよ!

    • 忘れてた!けど思い出した!
      懐かしいなぁ。今後は忘れないよう禿みます。笑


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郷野 聡寛(ごうのあきひろ)
体格:176cm 78kg(試合時体重70kg)
経歴:第4代全日本キックボクシング連盟ヘビー級王者、PRIDEウェルター級GP2006第3位
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