次のライブは晴れますように
8月の終わりから9月の初めにかけて、札幌でのリリースライブ&キャンペーン、苫小牧野外フェスのため北海道に滞在しました。
飛行機なら1時間半、フェリーなら20時間、近いようで遠い故郷には、当然ながら僕たちの帰る部屋はないので、カプセルホテルの匂いや、誰かのアパートの笑い声や、機材車の窓から覗く澄んだ星空と、かぼそく鳴く虫の声に抱かれながら、幾日かを過ごしました。
なつかしい顔と再会して酒を飲み、おかえりと言ってもらったり、少し前に通った道を、あの頃にはいなかった関係者と歩き、このバンドの音楽の未来について話したり、想像していたよりも随分と暖かい風の中で、あっという間に過ぎてしまう寂しさに気づかぬふりをしました。
洪水警報が発せられた9月2日、ソールドアウトのライブハウスで、みんながお祝いをしてくれました。
ありがとうという言葉さえ返し忘れてしまったのではないかと不安になるくらい、たくさんの人がおめでとうと言ってくれました。
“あめのはじまり”をリリースさせて頂いて、ようやくame full orchestraという大長編の本編1ページ目を、応援してくれる皆さんと一緒に開くことができたのではないかと思っています。
この物語は、はじまったばかり。
東京に戻ったら、しぶとく夏が残っていました。
蝉時雨がうるさいなと木々を見遣りながら、また自転車を前へと漕ぎました。