過ごしてきた時間
音楽を聴く時間がなくても、生活の中に数多くのインプットは転がっています。それらを拾い集めたらメロディーが浮かんで、歌詞を書く気力が湧いて、楽曲の全体像を描きたいという熱がマウスを握らせて、キーボードを叩かせて、気づけばDAWのプロジェクトの中にスケッチを積み上げていて、翌朝起きて再生すると、プログラミングしたソングライティングの経過に興奮できたり、希望を持てたり、これをバンドで演奏してみたいという衝動に駈られて、また深夜のスタジオへ足を運ばせる理由に繋がっていきます。
もしかすると、僕は昔から変わっていないのかもしれません。昔というのは、作曲を始めた頃の話。
アコースティックギターの弾き語りをカセットテープやMDにメモして、バンドメンバーがいなくても、大好きなアーティストたちのCDと同じように、たくさんの音が積み重なった音源にしたくて、シーケンサーでドラムやベース、ピアノやストリングス、シンセサイザーのフレーズを打ち込んでいました。
昨今、ソングライターとして生きていくための最低条件になってしまったけれど、イメージの90%くらいは具現化した状態のデモを制作できないと仕事としては相手にしてもらえません。
たとえばクラシックのコンポーザーはピアノで紡いだ主旋律だけで作曲を完結するわけではないだろうし、チェロがこう鳴ってたらいいなとか、バイオリンのフレーズはこんな感じがいいとか、奏者にはこう弾いてもらいたい、ボーカリストがいれば、こんなふうに歌唱してもらいたいという全体像が、着想の段階から頭にあるはずです。
僕は、いつか映画音楽を手がけられるようになりたい。
裏方出身なので、バンドマンとしては平均より10年くらい遅れてステージに立ったオールドルーキーですが、宅録の時代、一般職の時代、スタッフ時代、プロデューサー時代、過ごしてきた時間の意味と価値が、今日という日まで自分を連れてきてくれたんだと思っています。
■2016年11月9日(水) 発売
■タワーレコード新宿店・札幌ピヴォ店・MSE STORE・ライブ会場にて取扱い
ご予約:http://tower.jp/item/4362011/%E8%BD%8D%E3%81%AE%E5%AD%A3%E7%AF%80-EP
■MSE-0007 / ¥1,000(税込)
【収録曲目】
M1 グッバイベアフット
M2 ジュライ
M3 バラリーナ (acoustic)
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