鑑定士と顔の無い依頼人を見た
大事な要素を占めるが、この作品は
中々その点も楽しませてくれた。
ストーリーも僕の様な一般庶民とは
掛け離れたオークションハウスの世界
で正に別世界を壁が隔てている向こう側
を覗き見していり感じは主人公の、依頼人
を見たいと言う気持ちにオーバーラップ
させられ、劇中のミステリーを体験させら
れる様な錯覚は僕の好みだった。病的に
見える女優のキャスティングも中々。
今にしてみれば2回目の覗き見の時に、
僕等観客にはネタをバラしているのに
(誰か黒幕がいる)主人公はそれを贋作を
見破る様に細心の注意と警戒心をもって
意識出来なくなっているのはミステリー
のイリュージョンそのものだが、ここら
辺りで女性にのめり込む真面目人間は
沢山いる気がする。まぁ人の恨みも気付か
ない、もしくは恨みを買う事が平気で出来
た無神経さが人と付き合ってこなかった
主人公の生き様だったのは気の毒と言う
設定なのかな。偽りの愛の中にも真実の
愛が有り得ると言う、曖昧な望みが彼の
微かな支え?で待ち人を待つラストシーン
。僕等観客はあの後、彼女は主人公の元
に現れるかを論議して二手に分かれるが、
僕なら、来ない方に掛ける。再会したら
無駄な続編が必要になるし。勿論、彼女の
[この先、何が起きても私は貴方を愛して
る]と、言う言葉が有るじゃ無いかと思う
人がいるだろうが、それは主人公と同じ
気持ちになっただけで、主人公が警察署
の前まで行っても中に入らず被害届を
出さなかったのが全てで、それをさせない
為の釘さし。正に主人公の心は串刺しに
された。まぁそれだけ、痺れられるモノが
彼の世界の外にあったのを彼自身が彼女
を外の世界に触れさせ様として自分がさせ
られた辺りも面白く描かれていた。原題
のBEST OFFERにピッタリ。主人公自身
の最大のオークションプライス。全人生
をつぎ込んだ愛は偽りか真実か。
いやぁ、面白くて語り過ぎてしまったが
観るには面白いがこんな目には会いたく
無い作品であろう。