どうかお願いします。
「ありがとうございました!!」
周りの人が振り返るくらい大きな声だった。
中学生になってシシュンキってやつを向かえた次男。
小学生ラグビーでは、いつもへたくそなプレーを大きな声で誤魔化していたのに
中学生になってめっきりと大声を出さなくなった。
そんな次男が、気仙沼の大島を離れるフェリーの中で
小雨が降る中、いつまでも港の縁に立って見送ってくれた小松さんに向かって
心から搾り出すような大きな声でお礼を言った。
僕は、気仙沼の小松さんを訪れるときにちょうど休みだった次男を連れて行った。
もちろん、まだ子どもだから興味本位って事もあったと思う。
でも、実際に津波で打ち上げられた大きな船を見て彼は息を呑んだ。
3階まで波に飲まれた学校を見て言葉も出ないほどショックを受けていた。
これが現実だと、彼は理解できたと思う。
僕には莫大な寄付金がどこに使われたかなんて知らない。
復興の優先順位がどのようになっているかも知らない。
でも、実際に困っている人はまだまだいる。
手もつけられていない場所が山ほどある。
気仙沼の小松さんは、大島で牡蠣の養殖をしている。
もちろん津波で大きな被害を受けた。
もうやめよう、って思ったこともあったそうだ。
でも再建を決意して力強く立ち上がった。
是非、このページを見てください。
http://yamayosuisan.wordpress.com/
どうか、どうかお願いします。
帰宅して2日後。
次男がちっちゃな貯金箱を持ってきた。
「これ少ないけど小松さんのやつに使って」
本当に少なそうな貯金箱の中身と僕が出すべき差額の多さを
あえて考えないようにして
僕は、少しだけ大人になった次男にお礼を言った。