イタリア・ミラノ紀行 その6
今までにいろいろな国に行ったけど、
そんなことを感じたことはなかった。
まぁ、基本的に英語もろくに話せないヤツが一人でいれば、
受け入れる側としては優しくするしかないだろうし、
自分の鈍感さもプラスすればそんな事も当然なのかもしれない。
初めはごく小さな違和感だった。
ホテルのフロントのねーちゃんが冷たいのも、
現地のキックボクシング協会の人の態度がデカいのも。
決定的だったのはミラノ市内からホテルに戻ると、部屋の中の冷蔵庫の位置を勝手に移動させた、とフロントのねーちゃんが難癖をつけ始めた。
初めはイタリア語で捲し立てるように、
次は早口の英語で。
挙げ句、金を払えと。
冗談じゃない、そんな事で金なんか払えるか、と。
そりゃもう大騒ぎ。
ははーん、
コイツら日本人をナメてるな、そう思った。
実際、街ではバスに乗車拒否される黒人や、
飲食店に入れず外でご飯を食べるアジア系の女性を見た。
でも、ね。
そう思い始めると、全てがそう見えてしまう。
予約した列車のシートが窓際じゃなかったのも、
パスタの盛りが少ないのも。
やめよう。
だって列車のチケットが取れたのは、周りにいた人達がよってたかって親切に教えてくれたから。
この店のパスタが旨いって教えてくれたのは、通りすがりのイタリア人だから。
俺みたく一過性じゃなくて、ずーっと苦しんでる人はたくさんいるのだろうし、想い出は綺麗にしまっておこうと思ったから。
だから
俺はそんな事を思うの、やめた。