青べか物語
ふと、もう一度読んでみたくなった。
浦粕町は根戸川のもっとも下流にある漁師町で、
貝と海苔と釣場とで知られていた。
町はさして大きくはないが、貝の缶詰工場と、貝殻を焼いて石灰を作る工場と、冬から春にかけて無数にできる海苔干し場と、そして、魚釣りに来る客のための釣りに釣舟屋と、ごったくやといわれている小料理屋の多いのが、他の町とは違った性格を見せていた。
冒頭の一部分。
この描写から、あのディズニーランドのある浦安が想像できるだろうか。
かも(たかられてるカモの事です)は考えこんだ。
体をぐらぐらさせながら、どうにかしてその記憶をたぐりだそうとするようだったが、やがてそれもくたびれたとみえ、唸り声をあげながらぶっ倒れてしまった。
女たちは箸が倒れたほどにも思わなかった。うたう者、踊る者、悪口のやりとり、つかみあい、和解のコップ酒。そしてまた踊る者、うたう者、悪口のむし返しから髪の毛の毟りあい、という底抜けに活発な騒ぎが続いた。
金を見せびらかすいけすかない客に、無理矢理酒を飲ませて酔い潰す。
女たちはその財布をあてに豪遊するという物騒な飲み屋が浦安にあったなんて。
それはそれで新鮮な、青べか物語。