なんと厳正な、
タイミング的には間違いなくダウンだった。
僕の位置からは何が当たったのかわからなかったが、身体は正確にそれに反応する。
ダウン!
観客は地元選手が劣性を挽回したと、総立ちの興奮状態だ。
カウントが進むなか、
イラン人の審判チームから、今のダウンは肘による反則攻撃によるものでは、と審議が入る。
僕はダウンした選手の闘う意思を確認した上で
試合を中断し、各ジャッジとオブザーバーに確認をする。
全ての人達が、今のは反則攻撃だと。
僕はダウを奪った選手に減点のイエローカードを提示し、試合を続行した。
よくよく考えれば。
あのまま僕のミスジャッジを指摘せずにいれば、
イラン人選手の勝ちとなってもおかしくない状況。
しかも、相手は別の国籍の選手。
なんと素晴らしい人達ではないか。
なんと公平な人達であろうか。
もちろんイベントの質だってまだまだだし、
選手のレベルだって、決して全てが高い訳じゃない。
でも間違いなく、
この国の審判団は世界最高水準のフェアな精神を持っている。
そんな人達と一緒に仕事が出来たことは、僕にとっても誇りに思う。
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