KNOCK OUT vol 4
数え切れないほどのイベントを観てきた。国内外やその大小に関わらず。
その試合、僕は三人のジャッジのうちの一人。
最終5ラウンドまでのスコアは、僅かに前口選手につけていた。
ポイントを失わず、最低限このラウンドをイーブンに持ち込めば彼の勝利、
そんなパターンかな、と予想していた。
ところが、である。
前口選手は手堅く、どころか甘めのガードのまま打ち合う。
とにかく打ち合う。
左右のフックを中心にパンチを振るう前口選手に対して、
インサイドからパンチを打つ勝治選手に分があると思うのだが、
それでも打ち合った。
結果、前口選手は勝負には負けたが漢を上げた。
針の穴をつくよなワンチャンスで前口選手を倒した勝治選手もさすがである。
これこそがキックボクシング。
もちろん勝敗は大事なものだけど、それ以上に評価されるものがある。
大田区総合体育館が震えるような大歓声は、間違いなくリングの上の二人が創り出したもの。
こんな素晴らしい試合に関われたことを光栄に思う。
そして、この名勝負を生み出した要因のうちの一つに5ラウンド制であるということを忘れてはならない。
これは小野寺プロデューサーが信念を持って続けてきたことだからこそだと思う。
それぞれの立場での想いが、
リングの上で身を結んだ時に後世に残るようなイベントになるのだろう。
そんなイベントの始まりを感じた。
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