旅立ちの日
50歳である。なんともう一世紀の半分も生きてきたのだ。よくこんないい加減な性格でここまで生きてこられたと、つくづく思う。
幸いにも四人の子供たちは親父に似ることなく健やかに成長し、ほぼ手を離れることとなった。
子供たちが関わった全ての方たちに感謝したい。
今年は内外共に過去最高に出張が多くなりそうな気配。
まずは、この出張という言い方を改めよう。
もちろん仕事が優先ではあるが、できる事ならより多くの場所に行き、より多くの人に逢い、多くの出会いと感動をするために旅と改める。
感謝を心に、夢を仕事に、多くの旅に出よう。
一期一会を大切に、そう決心した中国への旅たちの日だった。
前日は新しい仲間と、新しい未来に向けて大いに盛り上がった。
いや、その前の日も邂逅とも言うべき古い友人と昔の想い出に花を咲かせたばかり。
非常に寝不足で、何度目かの目覚ましでようやく目覚めると既に空港へ向かう予定のリムジンバスに間に合わない時間。
慌てて電車にて、慣れない経路で関西国際空港へと向かった。
何度かの乗り換えを経て、ようやくこれに乗っていれば関空へと到着するのだ、という電車に乗り込む。
なるほど、まわりには大きな旅行カバンを持った人があちらこちらにいて安心する。
おおっ、向こうの壁際には、大きなスーツケースの上で豪快に寝ている青年が(笑)
その電車は各駅停車ではなく、ビュンビュンと幾つかの駅をとばして空港へと向かっていた。
と、幾つか目に止まった駅で、きっと朝まで飲んでいたのであろうカップルが人目をはばかることなくイチャイチャしながら入ってくる。
あぁ、朝からうっとおしい(笑)
ふと、次の駅で前四両のみが関西国際空港へ向かい、後ろ四両は和歌山へ向かうとアナウンスが聞こえた。
自分の乗ってる車両を確認すると、後ろには今まで走ってきた線路が見える最後尾の八両目。
これは乗り換えねばなるまい。
と、壁際で豪快に寝てるにーちゃんが気になり出した。もしそのまま和歌山まで行っちゃったら可哀想だな、とか
実は旅の帰りで、ぐっすり寝てるところを起こすのは余計なお世話なのか、とか。
いよいよ切り離しの駅が近づいてきた。
良い旅をしよう、そう決めた気持ちが背中を押した。
豪快に寝てるにーちゃんに話しかける。
お兄さん、関空に行くの?と。
でもあまりに深かった彼の眠りは起きるには至らず、半覚醒の寝ぼけマナコ。
と、その隣にいたイチャイチャカップルの女子の方が、この車両は和歌山行きやでー、って大阪っぽいノリで教えてくれる。
やっと目を覚ましたお兄さんは、慌てて開いたばかりの扉へと、大きなカバンを引き摺って向かった。
あぁ、起こして良かった。
その時、お兄さんは振り替えって、ありがとうございます、と小さく頭を下げてくれた。
振り返ると、イチャイチャカップルの二人も良かったね、と笑顔で応えてくれる。
なんと旅立ちにふさわしい出来事ではないか。
あ、俺も乗り換えだったと、なんとも清々しい気持ちで先頭に向かって走った。
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