某有名ブラック企業に就職して新人研修合宿に行った話16
研修室を出たあと各班ゾロゾロと
中庭に移動します。
教官「コースの各所に我々
教官が見回りを行っている。くれぐれも
抜け道やショートカットしようなどとは考えないように」
教官「それでは、よーい……
スタート」
各班が一斉に門を飛び出していきます。
合宿所の門を出ると
乳白色の吹上浜が眼前に広がり、
その先の山道を霞ませています。
社長「つーか、なんでマラソンなんだよ
わけわかんねー」
メガネ「結局走れってことですよね。パワハラにならないように
ウォーキングって言ってんのが見え見えで
逆に白々しいっつーか……」
元ヤン「……」
もうさっそくうちの班のメンバーからは
不満が出ています。
社長「もういいじゃん。
こんな会社の言いなりになることねーよ。
俺らはのんびり歩いていこーぜ」
ボク「うーん……（やる気ねぇなぁ……）」
しかし、入社時期は一緒とはいえ、この”元社長”は年上です。
過去の栄光を背に威張り散らす性格も含めて
ボクが言ったところでまったく意見を聞かないことは
目に見えています。
そのとき、後ろの班が何やら騒がしく
近づいてくるのを感じました。
B班のリーダー「よーし、みんな絶対一位取るぞー！
掛け声！ イッチ、ニッ、イッチ、ニッ！」
B班「イッチ、ニッ、イッチ、ニッ！」
ボク「（よし、これをきっかけに……）
ほ、ほら、皆さん、ボクらも負けてられませんよ！」
だめだ、こいつら……！
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