マルチ商法に誘われた話2
→マルチ商法に誘われた話
ナレーション「～そして、オランダで生まれた〇〇（会社名）は
いまや世界100ヶ国以上で愛され、
人々の健康を支えることとなったのです」
ﾋﾟｯ
講師「さて、というわけで我々〇〇は
日本の一支社として活動しているわけですね」
会場「うぉぉぉぉおお！！！！！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
講師「世界にそれだけの支社があるからねー。
たまに開かれる全社共同のミーティングとか
すごいよ～！」
講師「外資系だからさ、もうみんな外人なわけ」
講師「リッツカールトンとかのパーティー会場でさ、
もう１億も２億も稼いでるような奴らばっかりだからね！」
講師「ま、私もその１人なんですけどね！」
会場「ワハハハ！！！」ﾄﾞｯ
ボク「……」ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
もうこの時点でボクは
会場の異様な雰囲気に正直
帰りたい気持ちでいっぱいでした。
講師「ていうかさ、健康になるとかなんとかって言ってもさ
正直よくわかんないなって思う人もいるじゃない？」
講師「だからさ、アレ今日やっちゃおっかな」
そういうと、講師は目くばせして
近くにいたアシスタントらしき男性を呼びます。
気付けば
アシスタントの男性はいつの間にか
手にバケツとガラス板といくつかのボトルを持っていました。
講師「じゃあさ、実際にさ、うちで扱っている商品が
どんなものか見てもらいたいんだけど、
コレうちの食器用洗剤ね」
そういうと男性はスーパーで見かけないような
ラベルの貼られたボトルを掲げました。
講師「んで、こっちがさ。たぶん皆見たことあるだろうけど
よくある市販の食器用洗剤」
次に掲げたのは
たしかによくある
普通の洗剤でした。
講師「やっぱりさ。市販の洗剤って皆わかるだろうけど
すっごい化学物質とか色々入ってるわけ。
でも、汚れが落ちるから使ってるんだよね」
講師「うちの洗剤は全部天然成分！
健康被害は一切なし」
講師「じゃ、どちらのほうが汚れが落ちるか
やってみよう」
講師はガラス板に油を一滴垂らしました。
講師「この油を市販の洗剤かけて
落としてみるね」
洗剤は泡立つばかりで
汚れ自体はそのままです。
講師「見て、ホラ！
化学物質が入ってるから泡立ちはいいんだけど
汚れ自体は全然落ちてないよね」
講師はタオルで一度ガラス板を拭き、
もう一度油を一滴垂らしました。
講師「で、次はうちの洗剤使ってみるね」
講師「洗剤をかけて……
いい？ いまから瞬き禁止だよ？」
すると、ほとんど馴染ませもせず水をかけ
油は洗剤とともに一瞬で消えました。
講師「見て見て！！
ほら、一瞬で落ちるでしょ！！！」
会場「うぉぉぉぉおおお！！！！」
ボク（それって市販の洗剤に
水を混ぜてないから当たり前じゃ……）
洗剤は水で中和して初めて効果を発揮するのに
汚れが落ちないのは当たり前です。
おそらく自社の洗剤のボトルには
あらかじめ水を混ぜているか何かしているのでしょう。
ボク（だめだこれは……
完全にインチキ通販番組みたいになってる……）
ボク（何か売りつける前にここから逃げないと……）
講師「でさ、うちの会社の社員になるとね
こんな良い商品が社員価格で買えちゃうんだよね！」
キターーーーーー！！！！
講師「あ、いま
『なんだ？ 今日は商品の売り込みにきたのかよ』って
思った人いるでしょ？（笑）」
会場「アハハハ！」ﾄﾞｯ
ボク（思ってますけど？！）
講師「でもね、これ、君たちにとっても
いい話なんだよね！」
講師「この商品さ。君たち社員価格で買うじゃない？
社員価格って当然ちょっと安いんだよね・
そんで、それを友だちに勧めるんだよ！」
講師「そんで友だちが買ってくれたら当然
君たちに歩合が発生するんだよね！」
講師「で、こっからがすごいんだけど
その友だちがまた誰かにこの商品を
勧めるとするじゃない？」
講師「そしたらその
友だちの友だちが勧めた分の売り上げも
君たちに入ってくるんだよ！」
ボク（つまり、それって……）
マルチ商法じゃん
講師「つまり、こういうことだね」
講師の後ろで
スクリーンに図が投影されました。
マルチ商法じゃん
講師「あー、そうそう
こういう図を見せるとさー」
講師「マルチ商法じゃないのか
っていう人、必ず出てくるんだよね～（笑）」
講師「でもさ、そんなこと言ったら
マク〇ナルドとかコンビニエンスストアとか
皆フランチャイズで契約して店長とかになるでしょ？」
講師「じゃあ、アレ全部
マルチ商法になっちゃうじゃん！（笑）」
会場「アハハ！ たしかにー！」ﾄﾞｯ
講師「うちは良い商品があるから
皆に教えてあげたいって、それだけ！
マルチ商法じゃない！」
講師「健康になって良い商品が安く買えて
誰も損をしない！ 皆ハッピーになれる
そういうお手伝いをしてるわけ！」
ボク（なるほどー！）
マルチ商法じゃん！！
そのあとボクは
次回のセミナーの参加日程を決めさせようとする
先輩と講師の方の誘いを必死に断り
無言で先輩のアドレスを
着信拒否にしましたとさ。
おしまい
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