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世界各地から招かれる国際的セラピスト 奥田健次独占インタビュー【前編】
世界各地から招かれる国際的セラピスト 奥田健次独占インタビュー【前編】
奥田健次(行動分析学者)Xアマゾン

演技派三代目へのご指導

ぱーとたいむ教授、奥田健次です(´ー`)

気がついたら師走です(>_<)

昨日は、うちの三代目ハッピーのトレーニングを山本央子先生に仕事としてお願いし、超ご多忙の中、軽井沢までお越しいただきました。

三代目ハッピー。

このブログに新しく来られた経緯をご存じでない方のために申し上げますと、うちの学校で夏に開催された家庭犬指導者養成トレーニング合宿のために保護団体からお借りした犬たちがいます。トレーナーが自分のところの犬を連れてくるんじゃなくて、初めて会った犬をどうするかというガチンコ臨床のために、山本先生のお知り合いの団体さんからお借りしてるのです。

そのうち、何とも「オラオラ系」の、しかし見た目はキュートな奴がいたのです。犬たちの中に「吠え犬」として折り紙付きの子も来ていたのですが、後にうちの子になるハッピーは、それ以上にギャン吠えしてました(^^;)

歯がボロボロになって半分ほど無くなっちゃってしまってるし。クレートに入れられると一晩中、気が狂ったように鉄の部分を噛みちぎろうとするからです。

まあ、大変や。

しかし、何とも目が可愛い。

大変なほど何とかしてやりたい気持ちになったわけです(この辺り、臨床家らしいところかも)。

大変な部分について「自分で何とかするわ〜」と思ったわけではありませんよ。

うちの学校でやる家庭犬の合宿で唯一の指導者、山本央子先生がおられるから、何とでもなるやろう。ご指導いただけば、後は何とかなるやろう。こういう大船に乗った気持ちがまずあって、学校の管理人が「飼いたい」と言うので譲渡していただくことになりました。

気が狂ったように吠えることやら、対向犬へのギャン吠えは、合宿のときと比べると見違えるほど良くなってはいました。オムツも最初から使わず、排泄も完璧でした。

でも、おれも管理人もあれこれと仕事で出入りすることが多くなったり、まだ三代目もこちらに来て3か月。最近になって、あれこれ「お試し行動」が出てきたのです。

完璧だった排泄も、留守中に室内でやることがちょくちょく見られるようになりました。同じく留守中、ゴミ箱荒らしをすることも見られました。

管理人も最初は「クレートやサークルに入れるなんて、この子には拷問みたい!」と言っていましたが、こんだけ留守中に荒らされることが続くと、「これはクレートとサークルの訓練って要るのかな、それで直るんなら」と思うようになったわけです。人間、本当に困らないと考えを改めませんからね。

おれが「じゃあ、山本先生にお仕事としてお願いする?(こないだまでサークルに入れるのを可愛そうとか言ってたよな)」「お願いしたいです(すみませんでした)」ということで、無理を言ってお願いしました。

恥ずかしいけれども家の中を見ていただくというのが重要だろうと思いました。どこで食べて、どこで仕事して、どこで昼寝するか(これ、犬だけのことちゃうよ、人間のことも)。臨床において、何より大切なことは生態学的アセスメントですから。

するとさすが百戦錬磨の臨床家。どこにどういう配置でカドラーを設置するのか、サークルをどうするのか。予想を超えたご提案をいただきました。4面のサークルではなくて、「ここに出入り口を付けたサークルを1面に貼って、こっちの部屋をサークルと考えれば良いですよ」と。

ご指導前、「何が起こるんや!」という三代目。後ろに見えるは、ヘフナー・バイオリンベース。ベースそっちのけの図でもある(^^;)



いつも思うけど、山本先生って写メを撮る技術も高い(^o^)

家の中での過ごし方だけでなく、散歩の練習も教えていただき、実習トレーニングもしていただきました。見てるだけではなく、正しく実施できるようシェイピングしていただきました(繰り返しますが、飼い主側の行動を教えてもらうのです)。

そうすると、あれよあれよと三代目の行動が変わるのです。散歩の時の困った行動については、さすがに長年の癖になっていて、すぐにこれまでの不適切な行動が出ちゃうんですが、山本先生がターゲットとして定めた行動にひたすら好子を随伴させていくと、すぐに行動が変わります。もちろん、この結果自体は当然のことです。でも、飼い主として嬉しいじゃないですか(*^^*)

追いかけ回しストーカー行動についても、方向性が見えてきました。留守中、家の中を荒らされることについても、どのように犬も飼い主も安心して生活できるのか、方向性がはっきりしたわけです。

うちの教え子が「奥田先生がABAで直せば良いじゃないですか」と言ったことがあります。おれは「アホか! 分かってないなぁ!」と一喝。

臨床というのは、単に技術の提供ではないんですよ。ゴールをどこに持ってくるかを常に明確にできるかどうかです。必要に応じて、細かな修正ができるかどうかです。おれは、犬の「自立」「幸せ」「安心」「不安」というのは、ぼんやりとしか分からない。もしくは、間違って思い込んでいる世間知みたいなものがあるわけです。そうすると、犬の「自立」というゴールに到達するための、ゴール設定もスモールステップも分からないわけです。犬ごとに違うし、家庭ごとに生態も違うわけです。

「富士山を登らせるために、ただ登山道具をうまく駆使して頑張らせる」。これじゃだめだと、誰もが思うでしょう。「自閉症の子どもが安定した生活を送るために、ただABAをうまく駆使して頑張らせる」というのも駄目なんです。

臨床の技術は高くて当然です。そこは褒められてもね、おれは嬉しくない。当たり前です、プロですから。プロの中でも、どれほどたくさん見てきたか。そりゃもう、どんな子どもが来ても大丈夫です。高機能の子だろうが重症心身の子だろうが、その子ども本人を見て、その親や家族の(あるいは施設での)暮らしを見て、それぞれに必要なゴールを提案できるかどうかが、どうしても肝要になるのです。ABA(応用行動分析学)を学んだところで、ゴールの提案は学べないでしょう。論文にも教科書にも載ってないよ、それは。

よくあるのは、ゴールがどこにあるのか何とか分かってもらえたのに、ハシゴをかけるところがまったく別のところになってしまっていることがある。もしくは「そっち登ってると絶対に到達せえへんで」と言わないといけないくらい、180度逆のことをやってしまっている親、専門家も多いわけです。

だから、ABAなんて大したことないですよ。ABAを使ってセラピーとかやってる人の仕事ぶりを学会などで見ていても、「なぜ今、そのマッチング訓練が必要なのか」「なぜ着席させたいのか」などと聞きたくなることばかりです。「ちょっとでも言葉が広がればいいかなあ」「お勉強が少しでも出来るようになって欲しいから」くらいの回答なんですかね。

その子にとって必要な優先されるべき標的行動が何かということが分かっていれば、結果として言葉は広がっていくし、勉強をやりたがるようにできるのにね。教えたい標的行動を先に設定するから、教えられた行動が限定的になるのに。いつも言ってることやけど、言葉は「広げる」もんやないよ、「広がる」もんや。広がるための条件を整えるってこと。

あ、三代目のトレーニングとは関係の無い話に展開してしまった。トレーニング内容には関係ないが、教え子にアホなことを言われたので、改めて今回ここに書いておくわ。

そんなわけで、おれは人間の臨床家です。犬の幸せについては、ボンヤリとしか分かっていません。芸当を教えることはできますが(おれが20代前半の頃に飼い始めた二代目のときに50種類くらい教えて、死に真似もやらせた)、そのときには犬の「自立」なんて、これっぽっちも理解していませんでしたよ。

山本先生にうちの学校の家庭犬指導者のご指導を100%お願いして大正解です。うちの学校は100%ですよ。100%従います。「参考にします」ではありませんからね。「意見の一つ」と思っている人は、来なくてよろしい(^_^)

で、おれは切り替えて今日は東京でずっと心理臨床です。臨床って楽しいですよ。でも、ゴールを理解していただくための闘いでもあります。

奥田健次

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奥田健次(行動分析学者)プロフィール

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奥田健次(おくだけんじ)
身長・体重 174cm・63㎏
生年月日 1972年1月20日
血液型 B型
出身地 兵庫県

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