親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」6
「青い鳥」
原作・メーテルリンク 文・水野英子
6・「夜の宮殿」
夜の女王が支配する夜の宮殿では、
女王が長い闇の裳裾を引きながら、
いくつもの青銅の扉の部屋を守っていました。
そこへネコが駆け込んできました。
「大変です女王さま。あのきこりの子のチルチルとミチルが
青い鳥を探しにやって来ます。
女王さまの青い鳥を手に入れたら
私たちは消えてなくなるしかないんです」
「おやまあ」
と女王は言いました。
「(真実の青い鳥)はそう簡単に手には入らないよ」
そこへチルチルとミチルが宮殿の荘厳さに関心しながら
イヌといっしょにやって来ました。
「こんにちは女王さま。青い鳥をお持ちだと聞いたので」
「私は(こんばんは)という言葉しか知らないねえ。
青い鳥だって?見たことも聞いたこともない」
チルチルは広間に並ぶ大きな扉の部屋を見回しました。
「あの部屋のどこかにいるかもしれない」
「部屋の鍵を借して下さい」
とチルチルは言いました。
女王はチルチルの帽子のダイヤモンドを見てひるみました。
「私には断る力がない」
女王は鍵を渡しながら言いました。
「気をおつけ。あの中にはあらゆる怖れや悪が閉じ込めてある。
お前に何があっても知らないよ」
(つづく)