親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」14
「青い鳥」
原作・メーテルリンク 文・水野英子
14・「未来の国」
空の色をした青い宮殿です。
サファイアの円柱もトルコ石の天井も碧玉の敷石も
なにもかも美しい青色ではるか遠くまで続いています。
「ここは(未来の国)です。今から生まれる子供たちが待っているのです。」
光が言いました。
青い服を着た子供たちが思い思いのことをしています。
珍しい機械を作っている子、長生きの薬の研究をしている子、
巨大な果物や花を育てている子・・・。
「ぼくたち地球に生まれたらこんな仕事をするんだ」
「すごい!発明家ばかりだね!」
「あのずっと二人でいる男の子と女の子は?」
「あの二人は(恋人たち)と呼ばれているの」
階段などで眠っている子たちもたくさんいます。
「あの子たちは?」
「自分が何をしていいか、まだわからない子たちです。
でも生まれる時は必ず何か持って行くことになっています」
光が言いました。
「目の見えない子がいるね」
「あの子は世界を救うんだ」
駆け寄って来た子供がいました。
「こんにちはチルチル」
「なぜぼくの名を知ってるの?」
「ぼく、きみの弟になるんだもん。来年生まれるんだ。
でもぼく三つの病気を持って行くの。猩紅熱と百日咳とはしかだよ。
それで死んじゃうの」
チルチルはびっくりして言いました。
「じゃあ生まれて来ない方がいいじゃない!」
「でもそう決まってるんだ」
その時強く透明な音が響き正面のオパールの扉から
ながい鎌と砂時計を持った老人が現れました。
「さあ子供たち、出発の時刻がきたぞ!」
(つづく)