親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」17
「青い鳥」
原作・メーテルリンク 文・水野英子
17・「目ざめ」
チルチルとミチルは自分たちのベッドで眠っていました。
お母さんが入って来ました。
「さあさあ二人とも早く起きなさい。
もうお日さまはカンカンに照っているよ」
「やあ、お母さんだ、お母さんだ。長いこと会わなかったね!」
チルチルとミチルはお母さんに抱きつきました。
「何をねぼけてるのこの子たちは」
お父さんもきこりの斧を持って入ってきました。
「お父さん、今年はお仕事たくさんあったの?」
「何のことだね?」
「だってぼくたちが出かけたのは去年のクリスマスの
夜だもの」
「ええ今日はクリスマスよ。
おまえたち夕べ寝て起きたばかりじゃないの」
「皆もとのままだ。パンも火も水も・・・」
表のドアをノックする音が聞こえて、
お隣のベルランゴーおばあさんが入って来ました。
「皆さんおはよう。クリスマスおめでとう。
スープを作るのに火種を少しもらえますかの」
「やあ、妖女のおばあさんだ!ごめんなさい、ぼくたち(青い鳥)を
見つけられなかったんだ」
「え?何のことだね?」
おばあさんは首をかしげました。
「たしかに、うちの娘は鳥をほしがってるけど・・・。」
「そうそう病気の娘さんがチルチルの鳥をほしがってたわね。
チルチルあの鳥あげなさい。もういらないんでしょ?」
「クリスマスのプレゼントに」
おばあさんが言いました。
チルチルは鳥かごを見ました。
青空よりももっと青い鳥がいました。
「あっ(青い鳥)だ!ぼくの家にいたんだ!」
「あんなに探したのに!」
チルチルは鳥かごをおばあさんに手渡しました。
「まあまあ、ありがとう。きっと娘の病気がなおりますよ」
おばあさんは喜んで帰って行きました。
イヌはチルチル見てしっぽを振りました。
「おまえとっても勇敢だったね」
ミチルはネコをなでました
「おまえもう口をきけないのね」
「家の中も何かとってもきれいに見えるね」
チルチルとミチルは手を取って跳ね回りました。
その時お隣のおばあさんが美しい女の子をつれてやって来ました。
「まあこの子を見て下さい。鳥を見たとたん踊りだしそうなほど
元気になったんですよ!」
娘は青い鳥をしっかりと抱いています。
「やあ、きみ歩けるの?」
「走ることだって、跳ぶことだってできるんです。
病気がすっかりなおったんですよ!」
チルチルと女の子はじっと見つめ合いました。
(つづく)