Samba（サンバ）のルーツを空想旅行してみる？
ブログを書きだしてから、意外とサンバのことを
書いてないなと思い、今日は僕のアイデンティティ
の大半を占めるSamba （サンバ）について
書こうと思います。
といっても、音楽的なことでどうとか、技術的なことを
書くのではなくちょっとした
イメージトリップ（空想旅行）
をしてもらえるように書いていこうと思います。
こんにちは。初めましての方もそうじゃない方も。
SambaダンサーのMasashi（マサシ）と申します。
ちょっと想像してください。
アフリカです。ここは。多種多様な種族がそれぞれの存在
を尊重しあい、 独自の個性豊かな、大自然に敬意を
忘れない 文明世界が 築きあげられていました。
色とりどりの民族衣装、やさしさと愛に満ち溢れた
街、邑、集落。
そしてそれぞれの部族が自分たちルーツを大切に
語り継ぐために具象化した神々。
私たちはこの大自然を司る神々の子供。
女たちが服を洗い、赤子を洗う清らかな川。
天をあらい地を潤す荒々しい雷鳴。
病の苦しみから救う滋養あふれる草花。
獣たちを狩り命を頂き命をつなぐ営み、
万物を無に帰す炎、万物を生み出す海、
全てに神は宿り、私たちは生み出され、
増え栄えてきた神の子供。
言葉や名前は違えど、うまれ生きる宇宙は同じ。
語り継ぎ受け継ぐ神の鼓動。リズム、歌、踊り。
自分たちを形作る波動。
突然断ち切られた。
異質な神に対する偏見。強制。人々、
部族同士を争わせるエゴの侵略。
支配し所有するという思想。白人による部族の分断、
土地を分断し所有し、人を奴隷として捕獲し所有する。
効率的に行うための商業、武器、船、政策。
もともと同じアフリカにすんでいた部族が他の部族の
人間を獲物として捕らえ白人に売り渡す、見返りに
争いの道具を手に入れる。
商品として船に押し込められた人々。神の子ら。
命が奪われ、部族の繋がりは断ち切られたが、
言葉を超えた神々の鼓動は消すことができなかった。
足を延ばすことも、満足に用を足すこともできない
トンペイロ（奴隷船）
値段の高い子供は船の上層、
鎖につながれた大人は下層へ。
突然奪われた人間性。行先もわからない死と悪臭の旅路。
つなぎとめるのは神々のリズム。
ブラジル大陸、北から南へ。産業の移り変わりとともに
流れ移る街。どこでも最下層から抜け出せない。
自分たちのルーツであった神々すら
満足に祈ることもできない。
そこで彼らが選んだ方法は対立ではなく順応。
争いは争いを生む。ならば彼ら（ポルトガル人）に
溶け込み、受け入れ、彼らの文化とともに生き残る。
神々のリズムは西洋の音楽と混じり合い、アフリカの
祈りの言葉はポルトガル語の詩となり、
ファベーラ（貧民街）
の掘っ立て小屋の裏庭で歌われるようになった。
名もない消えては生まれる歌、曲。
それがSamba（サンバ）自分たちのルーツ、
消えない苦しみを歌にする。
したたかに生き残るため、どうしようもない境遇を
乗り越えるための歌。
決して対立や争い、抵抗の歌ではない。
清濁飲みこんで歌にする、人間そのもの。
自分たちのルーツを忘れなかった神の子の歌。
Samba（サンバ）が生まれて100年になります。
未だに変化進化し続ける音楽文化です。
ブラジルで”彼らの”と言った場合、
既にいったい誰を指すのか？
というくらい混じり合った彼らのアイデンティティ。
ミックスカルチャー。
僕の中にも生まれたアイデンティティ。
奴隷の方々から広まった苦しみを乗り越える為の
音楽文化。
南から北へ。
世界中に広がっていっている。
隅々まで広がれ。
広がれ。
悲しみが消えるまで。
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