余韻のある肉
私が残し、伝えていきたい肉。
「余韻のある肉」
こんばんは♡
〜人とお肉をつなげるサイト〜Meat UP!主宰の片平です。
昨日の投稿で触れた「余韻のある肉」
どのような肉なのか・・・・
興味をもたれた方から質問がありました。
以下、
9月号のGQ肉特集にて出稿したコラムです。
「余韻のある肉」
世界に数多ある食肉の中で、
余韻のある唯一の肉が「但馬牛の純血を引き継ぐ黒毛和牛」だと私は思う。
その余韻は長く飼いこんだ牛ほど深みを増し、
メイラード反応によって生じた甘い香気は強烈なインパクトで脳裏に焼き付く。
肉にワインは付き物だが、
それはワインで余韻を補い、肉の旨みを増幅させるからだろう。
しかし、余韻のある肉の場合、ワインを合わせる必然を感じない。
尖ったワインではかえって邪魔になる。
兵庫県では、他県の血を交配しない閉鎖育種により、但馬牛の純血性を頑なに守り継いできた。
当然ながら、神戸ビーフの血筋は但馬牛だが、
兵庫県で生まれた但馬牛を県外の農家が肥育するケースもある。
例えば、三重県では特産松阪牛と呼ばれるものがそれにあたり、出荷される松阪牛の3%程度だ。
近年は、穀物価格の高騰などを背景に短い期間で育つ黒毛和牛が全国的に主流になった。
体が小さく肉量の少ない但馬牛は、探し求めても入手が困難なほど生産が減った。
余韻を感じさせる昔ながらの肉に出会うには、限られたルートを辿ってお店を選ぶしかない。
余韻のある肉を楽しむなら鉄板焼がいい。
銀座の「Steak Tominaga」、麻布十番の「石垣吉田」。
但馬牛の濃厚な旨み、深い香りをダイレクトに味わえる。
そして、脂のしつこさといった鉄板焼に抱きがちなネガティブな印象は覆されるに違いない。
脂の融点が低く、軽やかですっきりとした脂質もまた、但馬牛の特徴なのだ。
伝えたい余韻がそこにはある。
主宰:片平梨絵