放牧酪農の町、北海道・足寄でありがとう牧場を視察
早朝3時半に起床!4時に集合し、放牧酪農の町、北海道・足寄町(あしょろちょう)でありがとう牧場を視察しました。
こんにちは
〜人とお肉をつなげるサイト〜Meat UP!主宰の片平梨絵です。
北海道出張中、一般社団法人びびっとコラボレーションの櫻井光雄さんのご案内で、ありがとう牧場の放牧酪農を視察させていただきました。
ありがとう牧場の場長、吉川友二さんは、足寄の酪農放牧の先駆的存在です。
↓
足寄町は、日本一広い町村(面積1,408.04k㎡)。
広大な町の人口は7000人、世帯数は3500世帯ほど。
山林に覆われた傾斜地が多く、自然豊か。
そして、
・寒暖の差が極めて大きい
・降水量・降雪量が少ない
・日照時間が長い
つまり、絶好の放牧環境が整っているということ!!
ありがとう牧場は、放牧酪農により40~50頭の牛の搾乳しています。
驚いたことに、通年放牧しているそうです。
放牧地は区画し、草の成長に合わせて、牧区を順番に移動させながら放牧させる輪換放牧を行なっています。
こうすることで、つねに栄養価の高いやわらかな草を食むことができます。
農薬や化学肥料を使用せず、栄養価の高い草を牛に与えているのです。
朝夕の搾乳後に新しい牧区に移動します。
ニュージーランドの放牧風景を思い出しました。
日照時間、降雨量に恵まれたニュージーランドでは、牛が柔らかい草を食べた後の牧区で羊を放牧します。
ハンドルビーさん、元気かな〜
それもそのはず。
長野県出身の吉川さんは北海道大学卒業後、ニュージーランドで酪農を学んだ方。
帰国後、2000年に足寄に移住し、2001年に新規就農し放牧酪農をスタートしました。
現在は100ヘクタールほどある放牧地と採草地を活用し、放牧酪農により40~50頭を搾乳しています。
3〜4月の春に分娩を集中させる季節繁殖を行い、12月末には全頭を乾乳!!
草のない1〜2月はお乳を絞らない乾乳期にすることで通年放牧を可能にしています。
朝、搾乳に行く牛ちゃんたち。
草をむしゃむしゃと食べながら、美味しそうな草に寄り道しては、のんびりと整列してミルキングパーラーに向かいます。
搾乳中です〜
1頭あたりの搾乳量は年間約5000kg。
濃厚飼料を控えることで低コスト化が図られ、放牧酪農により搾乳50頭の規模でも経営が十分に成立するというのだから驚きです
早起きの戦利品。
搾りたてをいただきます
温かい搾りたて。
牧草だけで育った牛のお乳は、サラサラとした口あたり。鼻から抜ける心地よい香り。
牛たちは搾乳を終えると、ゆったりと牧草地へ戻っていきました。
新しい牧野へ。
また、生まれた子牛のうち雄は草だけを食べた牧草肥育牛「サラダビーフ」として商品化
インターネットで通信販売しています。
サラダビーフの候補たちがいましたよ
吉川さん曰く
「草のみを食べているので、肉を食べてもサラダを食べているのと同じ。ありがとう牧場の乳牛は野菜ジュースです!」
私はもともと牧草牛(グラスフェッドビーフ)に抵抗がありません。
NZ牧草牛が大好きでした。
グラスフェッドビーフにネガティブなイメージを持つ方はお肉屋さんの中にもたまにみられます。
が、大切なのは、草の品質、状態なのだと思っています。
栄養価の高い草をたっぷり食べた牛肉は香りがあり、とても味わい深く、臭みは一切ありません。
2013年には牧場内にしあわせチーズ工房を開設。
牧場の生産物を年に3回届ける会員制度(年14000円)を設け、顧客がついています。
さっそく申し込みしてみよう
少子高齢化による離農、過疎化が進む市町村では、新規就農を促す環境整備や支援が課題。
平成27年の新規就農者は約6万5000人。新規参入者は3570人、5%にとどまります(農水省)。
農業未経験者が安定した収入を確保し、就農支援として助成される5年後も経営を継続できるビジネスモデルを確立できるのかどうか。
これが移住定着の鍵だと思います。
今回、訪ねた足寄町では、
放牧に適した環境を生かし、足寄町では「放牧酪農」を柱に新規就農支援、町づくりを推進していました。
その立役者が今回、ご案内してくださった櫻井さん。
足寄町役場で約40年勤務後、びびっとコラボレーションを立ち上げ、代表理事として新規就農や半農半Xの希望者向けに移住サポートセンターを運営されています。
「町づくりには若者、よそ者、ばか者が必要だ!!」と力強く足寄の未来を語っていました。
足寄町では、放牧酪農による新規就農者がすでに15組誕生し、現在、3組の就農希望者が待機しているそうです。
放牧酪農により町の活性化を図る足寄の今後が楽しみです。
大変勉強になりました。
ありがとうございます。
主宰:片平梨絵