冷凍牛肉にSG発動で関税引き上げ、牛丼や焼き材に影響?
冷凍牛肉にSG(セーフガード)が発動されました。
〜人とお肉をつなげるサイト〜Meat UP!主宰の片平梨絵です。
輸入牛肉のSGが発動されるのは14年ぶり。
そもそもSGって何???
という人が多いかと思います・・・
セーフガードは、
ある特定の農畜産物の輸入量が増えてしまった時に、国内の産業に損害が生じないように、通常よりも高い関税がかけられたり、輸入数量が制限される制度。
世界貿易機関(WTO)協定でも認められた農畜産物に対する緊急輸入制限措置です。
牛肉は、四半期ごとの累計輸入数量が前年実績の17%を超えた時に発動され、関税率が38.5%から50%に引き上げられます。
生鮮(チルド)・冷凍(フローズン)ごとに発動し、発動した場合は年度末まで高い関税率が適用されることになります。
関税が上がる、つまり通常よりも高い値段で国内に輸入されることになるわけです。
そして、今回発動されたのは冷凍牛肉。
ちなみに、EPA(経済連携協定)が結ばれているオーストラリア産、メキシコ産などの牛肉はSGの対象外になり、アメリカ産、カナダ産、ニュージーランドなどの冷凍牛肉の関税が50%に引き上げられました。
では、私たちの生活にはどのような影響が出てくるのでしょうか。
日本に輸入されている北米産の冷凍牛肉は、バラ系のショートプレートと呼ばれる部位が多くを占めます。
このショートプレートを一番使っているのは牛丼チェーン。
食べ放題など、値ごろ重視の焼肉業態などで使われています。
中食(総菜)の原料のほか、最近はスーパーでも焼肉用としても売り場に並んでいます。
「輸入牛肉全体でみれば影響は限定的」
確かにそうかもしれませんが・・・
ショートプレートを主力に使っている企業からすれば大問題。
牛丼のようにもともと単価も安い商品は、利用者も値段に敏感。
どのチェーンも在庫を抱えているでしょうから、今日明日にも値上げしなくては!という状況ではないかもしれません。
でも、来年3月まで50%に上昇するコストをどう吸収するのか。
企業努力にも限界はあり、店頭価格が値上げする局面も出てくることでしょう。
関税が引き上げられたことで以下のような対応が考えられますが・・・
・冷凍牛肉は値段が上がってしまうから、冷蔵牛肉に切り替えては?
→冷蔵牛肉は輸送コストが高く、急速冷凍するにしてもコストがかかる。。。
→冷蔵牛肉の輸入量が増えて冷蔵牛肉にもSG発動の懸念
・豪州産に切り替えては?
→現地の供給量が少ない中で供給体制を整えるのには時間も必要
→豪州産の冷蔵は日本人好みの穀物肥育しているものが多いが、冷凍はカウミート(ミンチ材など)が主体。
いずれも、なかなか難しそうです。
安定した品質のパーツ(1つの部位)を大量に調達することができるアメリカンビーフが日本の牛肉産業にとっていかに重要かを、改めて感じます。
今回、最も影響を受けるショートプレートは、世界的に牛肉の需要が高まる中でSG発動前から値段が大幅に上昇していた部位の1つです。
コストアップが続いてきた中での今回のSG発動。
今後の価格動向が気になるところです。
そして、、、、今
さらなる懸念は、冷蔵牛肉(チルド)にもSG発動の可能性が高まっていること。
第2四半期に基準数量を上回れば11月にはSG発動の恐れがあるということ。
もしチルドで発動されれば、影響の大きさはフローズンの比にならず・・・豚肉、鶏肉の価格にまで波及しかねません。
心配です。。
主宰:片平梨絵
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