毎年恒例行事となった幼なじみ昇一との“真鯛ダービー”
気合いを入れ前日入り。
互いに酒を酌み交わしながら明日の作戦会議。
『ねえねえ、パパの小さい頃と僕は似ている?』
『ああ、そっくりだわ。昔を思い出すよ。』
彼の息子も大きく成長した。
釣りの前日のこの時間がまた格別な時間なのである。
今回の決戦(?)の舞台は久里浜ではなく、剣崎沖。
私的には真鯛釣りの聖地というイメージ。
船宿に寄り、先着順に選べる釣り座の番号札を取り受付を済ませ、松輪港から7:00出船。
あの有名な“松輪サバ”が揚がる港である。
最近購入したおっきめの保冷力4・5倍(当社比)のクーラーボックスも船に積み込む。
今回の釣り座は左舷大トモ。
初めの頃モタモタしていた準備もテキパキ出来るようになり、朝日を見る余裕もある。
沖へ着く。
船頭の『はい、やってください。えー、48から50で……』の声でコマセカゴにアミエビを入れ、ハリス4号8mの仕掛けに付け餌を付け投入。
すぐに“ぐんっ”と竿先が曲がり当たりがあった。
ファーストフィッシュは、イナダ。
幸先の良いスタートとなった。
サバ・イナダ
ウマズラ
その後、彼にもポツポツ当たりがあり、私もサバ、イナダと掛かり本命(真鯛)が待ち遠しくなった午前9時過ぎ。
新しい仕掛けに替え(4号8mのフロート付き)、置き竿から手持ちに替えて少し誘いを入れた瞬間、“ククッ…”。
小さな当たりがあり、軽く合わせ巻いてみる。
時折下へ引く。
そんなに大きくない手応え…。
海面に赤い姿が見えた。
『真鯛だ。』
やっと本命が来た。
30cm弱の“塩焼きサイズ”だ。
小さくても本命だから良しとしよう。
マダイ
太陽が高くなり、キラキラ反射して眩しい。
この頃、北東の穏やかな風から南西の強い風に変わり、波も高くなりかなり揺れる。船の高さ半分以上は上下して、左右にも40度くらい傾く。時化てきた。
ふと隣を見ると彼が横になっている。 船酔いにやられたようだ。
私は薬を飲んでいたが、彼の姿を見て少しずつ具合が悪くなって来た。
すると船頭からアナウンスが入り、早上がりが決まり、午前11時に港に帰港。。
港は風がなく快晴で『なんだよ……』ってなりますが、沖の状況は荒れていたので仕方がない。
荷物を岸に上げ、しばらく二人で立ち止まって停止状態になっていた…。
頭が揺れているからだ。
二人でしばし反省会をし、来年またやるぞと約束し、それぞれ帰途へ。
新調したおっきめクーラーには、余裕で収まる魚達…。
隙間が寂しい・・・
早くこのクーラーで良かったと思えるサイズを釣りたい。
イナダは船宿で頂いた大根と共に煮付けにした。
ウマヅラは肝醤油で刺身にした。フグ並みのコリコリ感で美味。
サバは塩焼きに。
真鯛は塩焼きしてから、身をほぐしてご飯と混ぜ、形を作り軽く醤油に塗り、焼おにぎりに…。
その後出し汁を掛けて“真鯛焼おにぎり茶漬け”にした。最高。
魚を美味しく頂く事で、海の命に対する感謝が出来るのではないかと思う。
風、水温、海底地形、潮流、干満、仕掛け、ハリス、時合い……刻一刻と変化する様々な状況を頭で計算し、それらに合わせて対応していく真鯛釣りの魅力は尽きない。
“真鯛60cm”はまた次回(来年?)へと持ち越された……。