大村あつしオフィシャルブログ

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　みなさんは、「地獄」と聞くとどのような世界を想像しますか。全身焦げ付くような灼熱の世界。毎日、目を覆うような拷問が待ち構え、食うモノもなく飢えに苦しむ人々。そんな世界でしょうか。ところが、意外や意外。地獄には食べ物がふんだんにあるのです。

　長いテーブルの上には豪勢な料理が並び、その両脇に人々は座ります。見ているだけでよだれが出るような、そのかぐわしい匂いで腹の虫が「ぐうぐう」なるような、それはそれは美味なる料理。目の前にそんな料理が毎日並んで、「一体これのどこが地獄なんだ」と思うかもしれませんね。ただ、そう結論を急がないでください。話はこれからなのです。

　その世界で人々は、箸を手に料理を口に運ぼうとします。ところが、なんと、その箸は長さが一メートルもあるのです。当然、料理は口には届きません。こうなると、豪勢な料理はただ焦燥感と空腹感を増幅させるだけです。いかがでしょうか。これほどまでの拷問がほかにあるでしょうか。そして訪れる「絶望」。

　では、もう一つの質問。みなさんは、「天国」はどのような世界だと思いますか。長いテーブルの上に並ぶ豪勢な料理。その世界の人々が持っているのは、長さ十センチの箸。当然、楽々と自分の口に料理を運ぶことができる。

　もしこんな世界を想像したのなら、それは間違いです。実は、天国も地獄とまったく同じ世界。美味なる料理が置かれた長いテーブルの両脇に座る人々が持たされるのは、地獄同様に長さが一メートルもある箸なのです。

　しかし、それでも彼らは幸せです。なぜなら、その箸で目の前の人の口元に料理を運んであげて、みんながおいしい料理を毎日たらふく食べることができるからです。彼らは「希望」に満ちています。

　この話が言わんとしていることはおわかりですね。同じ状況なのに、かたや地獄、かたや天国。要するに、｢地獄｣とか「天国」とか、「悲しい」とか「嬉しい」というのは、その人の心の内面なのです。

　もっと言えば、この世に「悲しい出来事」も「嬉しい出来事」もありません。あるのは「出来事」のみです。それが「悲しい」か「嬉しい」かは、その人の心の持ちようであり、主観の世界なのです。

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