大村あつしオフィシャルブログ

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　ちなみに、こうして一年の連載を乗り切った私は、編集長の指導のおかげで雑誌でも通用する執筆技術を習得することができました。これは大きな収穫です。しかし、実はもう一つ、大きな副産物を無意識のうちに手に入れていたのです。それは、「新規読者」でした。

　初級者のみならず、中級者や上級者が読むことを想定しながら書き続けた記事のおかげで、それまで私のことをほとんどご存じなかった人たちに、私は一年にも渡って、意識することなく自分の存在をアピールし続けていたのです。

　書籍も雑誌も、購入しているのは読者です。プロならば、当然その読者を意識しながら執筆しなければなりません。しかし、それまでに五十万部以上の本を売り上げていたというつまらないプライドがあったがために、その当然のことをおろそかにしていた私の目を編集長が覚ましてくれました。

　その結果として私の知名度は上がり、この連載の後に私は七冊のベストセラーを世に送り出すことになります。もしこの連載がなければ、そんな好成績を挙げることはなかったでしょう。

　当時の私には、雑誌の連載から降りるという選択肢もありました。また、雨を見て憂鬱になるくらいなら、一層のこと連載を降りてしまおうと考えたことも一度や二度ではありません。しかし、「幸せか不幸かは主観である」ことに再び気付いた私は、記事を入稿するたびに厳しい指摘をされるという「客観的」な現実は変わりませんでしたが、それを「幸せなこと」と「主観的」にとらえることで試練を乗り越え、それが今の私を支えているのです。編集長には足を向けては寝られない心境です。

－　雨が降ると憂鬱になる。しかし、どこかにその雨を喜んでいる人もいる。　－

　このことばを気付きに今日も頑張っている人がいます。かく言う私もその一人です。

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