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61.三日坊主 × 百回 = 三百日(3)

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 日本のテレビの歴史に名を刻む名キャスターの久米宏さん(※1)ですが、新入社員のとき、初めてラジオで十五秒のナレーションを任された彼は、その恐怖で三日前から胃がキリキリ痛んで食事も満足に摂れなかったそうです。しかし、それでも彼は何とかその仕事をこなしました。そうです。あの久米宏さんも、たった十五秒のナレーションという小さな成功体験が、その後のキャスターとしての大きな成功を決定付けていたのです。その「十五秒」がなければ、その後の久米宏さんはなかったかもしれません。

 

 何かにチャレンジしても長続きしない人を指して「三日坊主」と言います。チャレンジは継続が大切ですから、三日坊主はもちろん誉められたことではありません。しかし、三日坊主になってしまうことを恐れて何もしないよりは、私は三日坊主のほうがはるかに前向きだと思います。

 

 それに、たとえ三日坊主でも、百回チャレンジすれば三百日です。「三日坊主で終わってしまった」とネガティブに捉えるよりも、「三日間のチャレンジをした」と考えたほうがより建設的ではないでしょうか。しかも、百回もそのチャレンジをしたとなれば、これはもう立派な実績ですし、相応の自信となって意識に刻み込まれるでしょう。

 

 三日坊主が悪いのではありません。「三日で飽きてしまった」と自分を責める負の感情が悪いのだと思います。

 

 映画の世界を考えてください。成功した映画は、パート二、パート三と続編がよく作られますね。これは、パート一の成功実績がノウハウとして蓄積されており、また、成功実績が作り手の自信となっているため、続編の成功確率も高いと判断されてシリーズ化にいたるわけです。もちろん、まったく新しい映画を一から作るよりも、時間や費用の節約にもなるでしょう。

 

 目標達成のための行動もこれと同じです。映画のように、行動をシリーズ化することが重要なのです。そうして実績を積み上げて、パート四、パート五ができる頃には、自ずと目標は達成されていることでしょう。

 

 シリーズ化は、映画だけの専売特許ではありません。

※1
今の20代の方はご存じないかもしれませんが、以前はテレビニュースは、アナウンサーがただ原稿を読み上げるだけの味気ないものでした。ましてや、そのニュースに対してアナウンサーが私見を述べるなど、到底あり得ない事でした。
しかし、久米宏さんは、伝説のニュース番組「ニュースステーション」で、アナウンサーではなくキャスターとして、堂々とニュースに対して持論をぶちまけるという、まったく新しい形のニュース番組を作り上げたのです。
ある意味、今のニュース番組はすべて、ニュースステーション、そして久米宏さんの模倣であり、ニュース番組のあり方を根底から覆したのが久米宏さんなのです。

 

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大村あつしプロフィール

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大村あつし

1996年8月にエーアイ出版より『Excel95で作るVBAアプリケーション〜 VBAで作る販売管理システム〜』でITライターとしてデビューしたが、2007年6月にゴマブックスより出版された『エブリ リトル シング〜人生を変える6つの物語〜』で小説家に転身。まだ、IT書籍の執筆は一部、続けているが、現在の活動は小説が中心となっている。

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