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63.手抜き ≠ 妥協(2)

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 今でこそおかげさまで、パソコン関係であれば「大村あつしの本は売れる」との評価をいただいているようですが、過去にある本でセールス的に大失敗をしています。私にとってデビュー二作目の本がそれです。

 

 その本は、エクセルの新バージョンの発売日に同時発刊されることになっていました。そこから逆算して、いつまでに原稿を仕上げなければいけないか、そのためには、一日に何ページ書かなければならないか、当然私はわかっていました。

 

 しかし、雨後の竹の子のごとくさまざまなエクセルの書籍が発売されていた中で、私は、類似書、すなわちライバル書のことばかりが気にかかり、そうした解説書を分析することに夢中になってしまったのです。さらに、限られたページ数の中で、どうしたらエクセルの機能の解説をふんだんに盛り込めるか、どうしたら類似書との差別化が図れるか、頭の中で試行錯誤を繰り返す毎日でした。

 

 ところが、気が付くと、恐ろしいことに、原稿の締切日にはまだ一ページも書いていない状況に陥っていました。当然ですが、編集長からはお叱りを受けました。

 

 「読者がソフトの新バージョンの発売日に同時に発刊される本を買うのはなぜか。それは、新機能の情報をいち早く知りたいからです。従来のエクセルにもある古い機能の解説や、類似書との差別化に関しては妥協すればいいんです。今回お願いした本は、極論を言ってしまえば内容は二の次です。エクセルの発売と同時に出版されることに意義があるんです」

 

 編集長が怒ったのは、私が「クオリティ」を軽んじたからではありません。実際、まだ一ページも書いてはいませんでしたが、私がその時点で作成していた「重要度や使用頻度に基づくエクセルの機能の分析レポート」については、非常に高く評価してくれました。

 

 編集長が指摘しているのは「グレード」なのです。すなわち、「この本に限っては、必要以上に時間をかけて分析をして、そこから得られた情報を盛り込むことは求めていない。新機能をきっちりと説明していればそれでいい」ということなのです。

 

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第2章 真二、知らない間にマクロを記録してしまう
第3章 真二、おそるおそるマクロを実行してみる
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第5章 真二、オブジェクトとメソッドが使えるようになる
第6章 真二、プロパティを覚えてドヤ顔になる
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第8章 真二、意外とあっさりコレクションを理解する
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大村あつしプロフィール

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大村あつし

1996年8月にエーアイ出版より『Excel95で作るVBAアプリケーション〜 VBAで作る販売管理システム〜』でITライターとしてデビューしたが、2007年6月にゴマブックスより出版された『エブリ リトル シング〜人生を変える6つの物語〜』で小説家に転身。まだ、IT書籍の執筆は一部、続けているが、現在の活動は小説が中心となっている。

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