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69.発想を転換する(1)

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 最初にお断りしておきますが、今からする質問は、いたって真面目な質問です。ふざけているわけではありません。

 

 では、みなさんにお聞きします。

 

 「フロントホックブラ」とはどのようなブラジャーでしょうか?

 

 これは「なぞなぞ」ではありません。心理テストでもありません。直感的に思ったとおりにお答えください。

 

 さて、解答は後ほどお話しするとして、次の会話を聞いてください。

 

 Aさん:「これは四角形だ!」

 Bさん:「いえ、これは三角形です!」

 

 当然、どちらかが間違えている。そう思いますね。ところが、それを聞いたCさんは、「AさんもBさんも正しい」というのです。

 

 Aさん、Bさん、Cさん。なぜ、こんな意見の隔たりが発生してしまうのでしょう。

 

 実は、Aさんが真上から見ている物体、Bさんが真横から見ている物体。これはピラミッドなのです。すなわち、Aさんの主張もBさんの主張も正しいのです。このケースでは、それを冷静に判断できたCさんがもっとも理想的な主張をしています。

 

 私たちには、固定観念にとらわれてしまうと、そこから抜け出せない悪癖があるように思います。他人から「そうではない」と指摘されても聞く耳を持たない。こんなケースは意外に多いのではないでしょうか。逆に、間違いを指摘しても、「なぜそんなことを言うんですか!」と反論されてしまうこともあるでしょう。

 

 「成功の秘訣は知識ではなく知恵である」ことは先にも述べましたが、このピラミッドの話からもわかるとおり、人生では、どれだけ物事を多角的に検証できるか。すなわち、発想の柔軟性や発想の転換が成功と不成功を分けているように感じます。

 

 自分の意思を持つのは大切なことです。知識を習得するのも大切です。しかし、知識で勝負できるのは子どものときだけで、私たちは、他人の意見に真摯に耳を傾けつつ、知恵で勝負すべきではないでしょうか。また、こうした意識を持つと、一度は四角形だと思っても、「もしかしたら三角形なのかもしれない。もう少し知恵を使ってみようかな」という謙虚な姿勢で物事に取り組めるようになる。そんな気がしてなりません。

 

 逆に言えば、こうした柔軟性にこそ、インプットした知識を知恵としてアウトプットするための秘訣が隠されているような気がします。

 

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大村あつしプロフィール

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大村あつし

1996年8月にエーアイ出版より『Excel95で作るVBAアプリケーション〜 VBAで作る販売管理システム〜』でITライターとしてデビューしたが、2007年6月にゴマブックスより出版された『エブリ リトル シング〜人生を変える6つの物語〜』で小説家に転身。まだ、IT書籍の執筆は一部、続けているが、現在の活動は小説が中心となっている。

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