ベンチッチ vs マカロバ(ベンチッチを気絶するまで応援するブログ1)
現在、真夏のオーストラリアで、テニスのシドニー・オープン(正式名:APIA INTERNATIONAL SYDNEY)が開催されています。
優勝すれば470ポイントと大きな大会で、上位選手は軒並み出場しています。
もっとも、来週からは2週間にわたる、4つのグランドスラムの中でもっとも気温が高くて過酷と言われる全豪オープンですので(昨年は、全米オープンが異常な暑さで、脱水症状を起こす選手が続出しましたが)、体力温存のためにこの大会の出場を見送る選手もいますが。
気温の高さも問題ですが、デイセッションは40℃、ナイトセッションは25℃、という温度差で体調を崩す選手もいます。
ちなみに、マリア・シャラポワは、昨年優勝した先週のブリスベン国際の大会直前の練習中に怪我をして、出場していません。
実は、シャラポワは、昨年のウィンブルドンでセレナに負けた後、ツアーファイナルズとフェドカップしか出場しておらず、パワーテニスで酷使した肉体が悲鳴を上げているのではと心配しているのですが、シャラポワだけで300本、ブログを書くネタがあるので(笑)、今回は詳細は触れません。
さて、2004年のあのウィンブルドンから10年間、ひたすらシャラポワだけを応援し続けてきたボクですが、昨年の夏に、ある選手に瞬殺されました(もちろん、2014年のグランドスラムデビュー戦の対戦相手がクルム伊達だったので、そのころから知っていましたが、その他大勢の一人みたいな感覚で観ていました)。
それが、マルチナ・ヒンギス2世と呼ばれる、同じスイスのベリンダ・ベンチッチです。
ゴルフ好きのボクの友達が、「イ・ボミが優勝するなら、寿命が1年縮んでもいい」と言っていますが、その気持ち、よくわかります。
もう、ベンチッチが優勝してくれるなら、寿命が1年縮んでもいいと真剣に思っています。
まだ、弱冠18歳で、もし神様が一つだけボクの願いを叶えてくれるなら、ベンチッチの父親になりたいと真剣に思います(笑)
なんとなくですが、いい年をした男が、AKBやモモクロに夢中になる気持ちがわかりました。
ベンチッチの凄さとか魅力は、また語る機会がいつでもあるので、今日は、シドニー・オープン準々決勝、対エカテリーナ・マカロバ戦の感想です。
マカロバについては、28歳で、世界ランキングも約30位、優勝経験もある左利きのロシアの名選手ということを記すにとどめます。
そして、我らがベンチッチは、このマカロバと対戦したわけですが、これが初顔合わせです。
以前、シャラポワが、「苦手な選手は?」と聞かれたときに、「初めて対戦する左利きの選手」とインタビューで答えたことがあります。
これが意味することは、初顔合わせなので、情報がないのはお互い様なのですが、テニスは圧倒的に右利きの選手が多いので、左利きの選手にしてみれば、右利きの選手と対戦するのはいつものことなのですが、右利きの選手にしてみたら、対戦機会の少ない左利きの選手との初試合はやはり不利に働くということでしょう。
ましてや、ベンチッチはシャラポワ同様にスロースターターで、出足からいきなりブレークされて、「おい、大丈夫か」と思っていると、尻上がりに調子を上げて、結局は勝ってしまうというパターンが多い選手です。
不利な条件の上にスロースターター。
試合前は、「これは、1セット目は取られるかも。でも、相手はしょせん30位の選手。まあ、ベンチッチの楽勝かな」と思っていたのですが、蓋を開けてみたら、まったく逆の展開。
1セット目は、ベーグル、すなわち6-0でベンチッチがものにします。
マカロバは、フォアハンドもバックハンドも、ことごとくネットに引っかけて、勝手に自滅した形。
しかし、結果論ではなく、このときボクは嫌な予感がしました。
まがりなりにも、世界ランキング10位で、先週のブリスベン国際で準優勝したばかりのあのケルバーを破って勝ち上がってきた選手です。
マカロバは、バスルーム・ブレーク、いわゆるトイレ休憩に入ったのですが、その間、ベンチッチは、大道芸人のようにボールをジャグリングして遊んで待っていました(このあたりが、まだ18歳の女の子です)。
あまりにジャグリングがうまいので、拍手する観客に笑顔を見せる余裕をかましながら。
余談ですが、フランスのクリスティーナ・ムラデノビッチは(ベンチッチと組んでダブルス優勝経験あり。ムラデノビッチも在住は現在スイスなので二人は大親友)、昔サッカーをやっていたので、暇なときにテニスボールでリフティングを披露して、よく観客を沸かせています。
そして、ボクの不安は的中します。
2セット目に入ると、マカロバが別人になったのです。
確かに、ベンチッチの球が、彼女特有のベースライン、ギリギリの深いボールではなく、甘かったこともありますが、フォアハンドもバックハンドも、とんでもないスピードでウィナーを次々に決められ始めます。
感覚的には、マカロバのウィニングショットは130Kmは出ていましたね。
恐らく、2セット目のマカロバでしたら、勝てる人はいないでしょう。
完全に、ゾーンに入ったときのぺトラ・クビトバ状態。
また、おいおい書きますが、弱冠18歳のベンチッチの最大の弱点はメンタルです。
気持ちが弱いのではなく、あまりの負けず嫌いのために、気持ちが「不安定」で、試合中に涙を流すこともあります(実は、その涙でボクはファンになったのですが(笑)。
もっとも、2セット目は、ベンチッチは「何が起きてるの? この人、1セット目、私に6-0で負けた人よね??????」と「?」状態。
マカロバのウィニングショットが決まるたびに、苦笑いしながら、「こんなボール返せるわけないじゃん」と言いたそうな顔。
あっさり、2-6で取られてしまいます。
しかし、テニスの面白いところは、セットが変われば、また0からスタートです。
ベンチッチも、自分のミスでセットを取られたわけではないので、休憩中に気持ちを入れ替えたのでしょう。
初顔合わせで、セットカウントは1-1。
それぞれのセットで、それぞれの持ち味を出し、考えようによっては、ここからが本当の勝負です。
そして、案の定、3セット目はもつれました。
まず、ベンチッチの持ち味である、他の選手よりヒッティングがコンマ2秒早いと言われる、往年のヒンギスばりのライジングショットでベースライン深くをていねいに攻めます。
結果、1セット目ほどではありませんが、マカロバもミスをし始めます。
しかし、2セット目でバシバシ決めていた、クビトバばりの高速ウィニングショットはそれでも健在。
そして、また、昨年の全米オープン2回戦、土居美咲戦を彷彿とさせる「事件」が起きました。
主審と線審がジャッジミスをしたのです。
しかも2回も。
特に、二度目はひどかったです。
マカロバのボールは、ボール1個分サイドラインの外だったのに、判定は「イン」。
ここで、メンタルの弱い(それが魅力なのですが)我らがベンチッチがついに切れます。
ボールが落ちた場所をラケットで指し示しながら主審に猛抗議。
しかし、主審は(ちなみにこの人、よく見ますが、本当に誤審が多いです)、”It was in for me”と、まったくとりあいません。
そして、コートチェンジのときベンチに座ったベンチッチが涙目になったときに、慌てて父親兼コーチのイバンさんが駆け寄って、娘をなだめます。
最終セットは6-4でベンチッチが取ったのですが、5-4で4、5回のデュース。
あのデュースをマカロバに取られていたら、多分、負けていましたね。
本当に、紙一重の勝利でした。
ちなみに、「テニスはチャレンジシステムがあるだろう?」と思う人もいるかもしれませんが、あれは「ホークアイ」と呼ばれる、会場に11台のカメラを設置し、それを元にCGでボールの軌道や落ちた場所を再現するシステムがある会場でなければ、チャレンジはできません。
テニスもスポーツであると同時にビジネスなので、シャラポワクラスのスーパースターは、いつでもホークアイのあるメインスタジアムで試合をしますが、ランキング14位のベンチッチは、準決勝まで進まないと、小さな会場でプレーしなければなりません。
そして、ベンチッチの最大の武器は、前述のとおり、ラインぎりぎりを狙うショットなのですが(このコントロールは、シモナ・ハレプ、ラドワンスカに匹敵します)、だからこそ、きわどい判定が多いのも事実です。
要するに、現在は、最大の武器が、時に誤審によって、最大の弱点になることもあるわけです。
今日はこれくらいにしておいて、とりあえず、ベンチッチ、準決勝進出です!!!
先週のブリスベン国際は、なんと、ハレプ、シャラポワ、ガルビネ・ムグルザとトップ・シード3人が怪我で欠場、もしくは棄権で、カロリーナ・プリスコバも出ていなかったので、ベンチッチにしてみれば、優勝の絶好のチャンスだったのですが、まさかの2回戦負けを喫しました(本当にもったいなかったですね。みすみす、ツアー3勝目を逃しました)。
今回は、こんな結末を期待して、ベンチッチを気絶するまで応援します!
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