プリスコバ、勝つには勝ったが・・・ 武漢オープン5(女子テニス183)
武漢オープン2回戦
カロリーナ・プリスコバ vs ルーシー・サファロバ
テニス界のリカちゃん人形ことカロリーナ・プリスコバが、同じチェコの先輩、ルーシー・サファロバと対戦しました。
プリスコバは、東レPPOの準決勝で観るのを楽しみにしていたのですが、その前日にまさかのTOP100圏外の選手に敗退。
ボクは翌日の上京の準備もあってその試合は観られなかったので、なぜ負けたのかはわかりませんが、この日のプリスコバもパッとしませんでした。
確かに、Unreturned Service Points、すなわちサービスエースも含めたサービスポイントは約50%で、プリスコバはラリーもせずにサーブだけで得点の半分を取ってしまう、まあいつものテニスといえばいつものテニスなのですが、ウィナーはお互いにほとんどなく、なんとなく観ている間に試合が終わりました。
この試合のプリスコバはあまりに謎なプレーが多く、2ndセットでオンコートコーチングを受けるまで、ベースラインから1mも下がってプレーしていました。
(全米オープンや東レPPOでガルビネ・ムグルサと戦ったアナスタシア・セバストワが立っているポジションを想像してもらえばいいと思います)
もう、プリスコバは完全にウィナーを取る気ないな、と思って観ていました。
そして、多分今年初めて見るシーンですが、なんとサファロバが1stセット、サファロバから見て3-4の場面でダブルフォルトを4本しました。
これで3-5になって、次のゲームをプリスコバがあっさり取って1stセットが終わったのですが、ここからが謎です。
テニスではルールでは禁止されていませんが、暗黙のエチケットのようなものがあります。
たとえばですが、相手がネットプレーに出て、パッシングで抜けそうにないし、ロビングもできないというとき、アマチュアだったら「相手の体を狙え」と教わります。
ただ、プロ選手はまずこういうプレーはしません。
実際にみなさんも、顔にボールを当てられてもんどりうっているシーンは見たことがないと思います。
同様に、アンダーサーブにいたっては、ほとんど反則に近いです。
もし、テニスでアンダーサーブを許したら、本来は上から飛んでくるはずのボールが下からあまりの低速で飛んできますので、試合にならなくなります。
ですから、マイケル・チャンが全仏オープンでイワン・レンドルにアンダーサーブを打ったのを「伝説」のように日本のテレビは言いますが、それはマイケル・チャンが錦織圭のコーチだからであって、「勝つためならなんでもする」という彼の人間性というか国民性が如実に表れていて、この行為を好意的にとらえている欧米人はまずいないでしょう。
さらには、この試合でマイケル・チャンはイワン・レンドルの2ndサーブのときにサービスライン付近までポジションを上げて、怒ったレンドルが主審にクレームをつけましたが、反則ではないので認められ、レンドルがダブルフォルトという形で試合が終わりました。
フェデラーのsabrは、サービスを打ったあとにポジションを上げるので別にいいのですが(もっとも、フェデラーはsabrはやめてしまいましたが)サーブを打つときにサービスラインのところに相手選手がいたら打ちづらくてしかたがありません。
ただし、ポジションを上げる、というのは「挑発行為」としては時に効果的で、セレナ・ウィリアムズがよく、サービスラインとベースラインの中間くらいまでポジションを上げて相手を威嚇することがありますが・・・。
(今年、印象深かったのは、全仏オープンの対クリスティーナ・ムラデノビッチ戦で、このときはセレナの威嚇に負けたムラデノビッチが大事な場面でダブルフォルトしました)
もし、この試合でプリスコバがセレナ作戦とまでは言いませんが、ベースラインの内側までポジションを上げていたら、ほぼ確実にサファロバは自滅していたと思います。
なぜなら、その前にダブルフォルトを4本打っているわけですから。
それに、仮にそれでダブルフォルトを誘発できなければ、その作戦をやめればいいだけの話です。
しかし、プリスコバはそのようなプレーはしませんでした。
思いっ切りボクの妄想ですが、同じチェコの先輩で、一緒にフェドカップを戦っているサファロバに対して、「挑発行為」はできない、もしくはしたくないと思ったのではないでしょうか。
ただ、裏を返せば、プリスコバはそこまで勝ちにこだわっていなかったとも言えると思います。
だから、東レPPOでもTOP100圏外の選手に負けたのかな、なんて思っているうちに試合が終わりました。
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