ワイルドカードがもらえなかったマリア・シャラポワ シャラポワ不在の全仏オープン2017(女子テニス284)
いよいよ、来週から今年二つ目のグランドスラム、全仏オープンが始まりますので、次回のブログで大外しを覚悟で優勝者を予想したいと思いますが、その前にぜひともみなさんに知っていただきたい事実があります。
今年の全仏オープンは、クレーコートの世界一を決める大会ではありません。
世界で2番目を決める大会であるという事です。
なぜなら、現在、なんの疑いもなくクレーコートで世界一強いのはマリア・シャラポワで、ITFはそのシャラポワにWC(ワイルドカード=主催者推薦)を与えないという、テニス史に残るもっとも愚かで姑息な、まるで幼稚園児の喧嘩のような報復をしました。
では、なぜシャラポワはWCがもらえなかったのでしょうか。
それを理解するためには、そもそもITFはシャラポワのテニス界追放を画策していた事実を知らないとなりません。
昨年、シャラポワは全豪オープンのセレナ・ウィリアムズ戦で、禁止薬物のメルドニウムを摂取してドーピング違反が確定しました。
これについては、シャラポワファンのボクも反論はなにもありません。
当のシャラポワ自身も
“I made a huge mistake.”
と、メルドニウムが禁止薬物であることを知らずに摂取してしまったことを認めています。
そして、ここから泥沼の対決が始まり、その帰結が「シャラポワを全仏オープンには出場させない」となったわけですが・・・。
まず、シャラポワのドーピング違反が発覚したときに、ITFはシャラポワに「4年間の出場停止処分」を下しました。
これは、29才のシャラポワにとってはテニス界の永久追放、実質的な抹殺にほかなりません。
しかし、ITF内には、ITFの愚かな権力者の権限が及ばない中立性の保たれたITF裁判所があり、まずはその裁判所が出場停止期間を2年と半分に減刑しました。
ただ、それでも納得のいかないシャラポワは、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴し、最終的にシャラポワの出場停止期間は1年3ヵ月となりました。
個人的には、故意ではなく不可抗力ですので、出場停止期間は半年で十分だと思っていますが、シャラポワはこのCASの結論を受け入れました。
そして、そのときにシャラポワはこんなスピーチを発表しました。
「ITFは、膨大な時間をかけ、膨大な人にヒアリングをし、膨大な資料を調べ、私のドーピングが不可抗力ではなく悪意に満ちた故意であることを証明しようと試みたが、その愚かな努力は徒労に終わった。
それも当然で、実際に私は、それまで禁止されていなかったメルドニウムが2016年になって突然、禁止薬物になったことを知らなかったのだから、ITFがねつ造でもしない限りそんな証拠が出てくるはずはない」
さて、シャラポワは復帰後、シュツットガルト、マドリード、ローマと3大会に出場しましたが、この大会の主催者はWTAです。
しかし、年4回のグランドスラムだけは、女子も男子もITFが管轄します。
となれば、シャラポワの抹殺に失敗したITFとしては、ありとあらゆる手を使ってシャラポワの復帰を妨害し、事実上裁判で負けた鬱憤を晴らしたいわけです。
そして、実際にITFはそれを行動に移しました。
全仏オープンの2012年と2014年の優勝者、2013年の準優勝者で、キャリアグランドスラマーであるシャラポワにWCを出さないという愚かで幼稚な報復をしました。
ただし、忘れてはいけないのは、その最大の被害者はボクたちテニスファンであることです。
なぜなら、その結果上述のとおり、今年の全仏オープンは「世界で2番目を決める大会」になってしまったからです。
まずは、この大切なポイントを押さえた上で、次回のブログでは今年の全仏オープンの展望を予想してみたいと思います。
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