多角的な視点
今朝は青空が広がり、美しい初日の出を見ることができました。友人から届いたメッセージの返事にも、神戸は快晴だと書きました。ところが……。
吹雪です。午後になると強い風が吹き始め、チラチラと雪が。そして2時間ほど前から激しい雪に変わり、あっという間に雪が積もりました。今も横殴りの雪が売り続いていますので、このままだと明日はかなりの積雪になるかもしれません。この冬初めて、神戸にしては大雪と言っていいほどの天気になりました。
そんな変化の激しい元旦ですが、お昼にはお雑煮を食べて正月を満喫しています。普段家にはアルコールを置かないのですが、お正月用に買ってきた日本酒は大正解の美味でした。昨晩は近くのお寺の除夜の鐘をたっぷり聞き、大阪のUSJのカウントダウンの花火をバルコニーから見ることができました。
さてそんな元旦ですが、本を一冊読了しました。
『「反原発」の不都合な真実』藤沢数希 著という本です。
このタイトルだけを見ると、原発推進派の方が書かれた本だと思わるかもしれません。しかし決してそうではなく、安易な脱原発に警鐘を鳴らされている内容です。経済学の、そしてリスク管理の専門家としての観点から、豊富なデータを提示したうえで自身の考えを述べられています。
東北の大震災で起きた福島原発の事故は悲惨な出来事です。放射能汚染による被害だけでなく、風評被害も含めると甚大な損害を日本にもたらしたものでしょう。原発で事故が発生したときの厳しい現実を、私たちは圧倒的な事実で突きつけられたと思います。だから私も原発に頼らないエネルギーを確保することを願っています。
しかしこの本を読んで、もっと違った角度から見ることの必要性を痛感しました。飛行機事故が世界的なニュースになるのと同じで、滅多に起きない事故はどうしても強いインパクトをもたらします。そうすると感情が優先されて、客観的なものの見方ができなくなる可能性があります。
世界的な視点で見ると、石油を燃やすことによる化石燃料による大気汚染が原因で、毎年100万人の方が亡くなっているとのこと。それを発電という部分に関して絞り込むと、単位あたりの発電量により火力発電がもたらす死者の数は、原発の1,000倍になるそうです。
今まで知らなかった事実をデータを通じて知ることができて、エネルギーに対する考え方に新しい視点をもらいました。原発に頼らないエネルギーを確立しなければという気持ちは全く変わりません。だからこそ人類の今までの概念を大きく変容させる、新しいエネルギーの必要性を痛感しました。
人間はどうしても自分の意見に合致する意見を受け入れやすくなります。だからこそあえて、違う意見に積極的に耳を傾ける必要があると思います。そのようにしてこそ多角的な視点を養うことができるのでしょう。そういう意味では、とても客観的な立場で書かれた良書だと思います。
著者のあとがきの言葉を読んで、いろいろ考えさせられました。911のときアメリカはイラクとの戦争に突き進みました。戦争に反対を唱える人の声が、テロに対する怒りの世論に押し潰されたのです。そのことを例にあげて書かれていました。
〜以下抜粋〜
僕は2011年3月11日以降、アメリかがテロとの戦争をはじめたように、日本も「原発との戦争」をはじめてしまったのではないかと危惧しています。原発を擬人化し、それを滅ぼす(=無くす)ことが正義になりました。実体のよくわからないテロを滅ぼすことがアメリカで正義になったように。原発を稼働させるべきだという意見を表明すれば、直ちに原発推進派のレッテルをはられ、ひどいバッシングにあいます。「正義」に反するからです。
〜以上抜粋〜
ひとりでも多くの人が笑顔になれるよう、人類が抱えている問題を冷静に客観的に、そして多角的に検討する必要があります。そのためには固定観念や巷にあふれる感情を一度手放し、私たちそれぞれが多角的な視点を持つことが大切だと思いました。
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