魂に刻まれた戦場の記憶
朝からシトシトと雨が降り続いています。夕方になっても、バルコニーの向こうの大阪方面は分厚い霧で見ることができません。気合を入れて午前中に買い物へ出かけましたが、さすがの晴れ男の私でも、今日は傘がビッショリ濡れるほどの雨でした。
先日紹介した蝋梅はさらに花を開き、かぐわしい香りを周囲に散りばめていました。話しかけてみたら、雨を楽しんでいるような気がしました。
太陽が見えないので何となく肌寒いですが、せっせと坂道を歩いていると自宅に着いたら汗びっしょりでした。この時期に汗ばむほど運動ができるのは、いいことですね。
今年に入ってから、時間を見つけては『ロード・オブ・ザ・リング』の映画を見直しています。トールキンの書いた原作も3部作の映画も、読めば読むほど、観れば観るほど新しく気づくことがあります。昨晩は第2作目の『二つの塔』をじっくりと鑑賞しました。
この第2作目の最大の見所は、ヘルム渓谷での戦いです。渓谷の砦に立てこもったローハンの王のセオデン、アラゴルン、レゴラス、ギムリ等が、サルマンの放ったオーク軍の大軍と死闘を余儀なくされるシーンです。
このシーンは原作と違う部分が多いのですが、視覚的効果を最大限に生かすために見事な脚色がなされています。私はこのシーンを観ると、いつも一種のパニック症状のような感覚を持ちます。心臓がバクバクして、異常なアドレナリンが放出されているのがわかります。
もっとエグい映画や激しい戦闘シーンを観ても、そんな感情が起きることがありません。この映画の第2作目だけに感じるものなのです。昨日はじっくりとその感情に向き合ってみました。
圧倒的な数的優位を持つ凶暴な敵軍。老人や子供まで借り出さなければいけない自軍の兵士の現状。背後に逃げ道のない砦。そして銃火器を使用する戦争ではなく、剣や弓を使った接近戦だということ。これらの要素が、言葉にできない心の動揺を引き起こすようです。
そこにあるのは絶望。諦め。張り裂けるような悲しみ。見つけられそうにない勇気。そして全身を震わせる死の恐怖。
私は現実生活に過去生を持ち出すことはありません。過去生の存在を否定しているわけではありませんが、「今、ここ」を生きることにとって、過去生は全く必要のないものだと思っています。忘れているのは理由があって忘れているのであり、向き合うべき課題は「今、ここ」の全てに存在しています。
それでもこの奇妙な感覚は、おそらく私の魂に刻まれた戦場の記憶だと思います。同じようなシチュエーションで、絶望の叫び声をあげて戦場に飛び込んで行ったことがあるのでしょう。戦死したのか、生き残ったのかわかりませんが、生死をかけた戦いに赴いたのだと思います。
今の私が戦争に行くことや、命のやり取りをするということは想像さえできません。しかし同じ「今」の地球で、そうせざるを得ない人たちがいるのは事実です。私のような魂の記憶ではなく、このような絶望のなかで生きている人が現在でもいるのですね。
昨晩は映画を観ながら、そんなことを考えていました。全ての人類にとって、そのような悲しい出来事が過ぎ去った記憶になってしまうことを、私は心から願っています。
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