意識とは?魂とは?自我とは?
厳しかった寒波が緩んできたようで、神戸はお昼前後から穏やかな天気が続いています。
昨日そして今日と、人間の自我や魂について考える作品に触れました。最初は昨晩読了した小説です。
『BORDER』金城一紀 原案 古川春秋 著という本です。
手元に読める本が無くなったので、電子書籍で読んだ本です。と言っても購入したものではなく、ネットでもらった電子クーポンでダウンロードしました。小栗旬さんが主演でドラマになっていたようですが、全く知りませんでした。割引セールがされていて、何となく面白そうだったので購入してみたのです。
なかなか面白いストーリーでしたが、個人的に突っ込みどころ満載の作品でした。頭に銃弾を受けて臨死体験をしてから、死者が見えるようになった石川という刑事が主人公です。つまり殺人現場で死者とコンタクトを取って事件を解決していきます。アメリカの海外ドラマで『ミディアム』という作品がありましたが、それの刑事ヴァージョンですね。
この物語の幽霊は、火葬されるとコンタクトできません。燃やされると成仏するそうで、話すことができないそうです。ここでガッカリ……。そして死者たちがよくしゃべること、しゃべること。ピン芸人の漫談のように話し続けます。おまけに驚くと顔が真っ青になります。死んでいる人間の顔が真っ青になられても、困りますよね。
ドラマはどのような雰囲気だったのかわかりません。小説に関してはそういった部分を無視しながら読んでいるとそれなりに面白かったです。死後世界を描きたいようでしたが、中途半端感は拭えなかったですね。
そして今日になってレンタルしていたDVDを観ました。『トランセンデンス』というジョニー・デップ主演の映画です。これはメチャ面白かった!批評家たちには酷評されているようですが、私はとてもよくできた映画だと思います。
ジョニー演じるウィルと妻のエヴリンは、PINN人という工知能を開発する科学者です。ところがウィルは反テクノロジーを訴える過激派に銃で撃たれて死を迎えます。夫を失うことを恐れたエヴリンは、猿で成功していた意識のアップロードを夫で試します。
つまりそれまで「自我」を持たなかったコンピューターが、ウィルという「自我」を手にして技術的特異点を超えてしまいます。それがトランセンデンス(超越)という映画のタイトルの意味です。夫が肉体を失っても生きていると信じる妻は、その人工知能をネットと接続します。すると加速度的に進化を繰り返し、世界中のデジタル機器を取り込んでしまいます。
さらに進化したPINNはナノテクノロジーを利用して、次々と奇跡を起こします。生まれつき目の見えない人を治したり、瀕死の重傷を負った人間の傷を跡形もなく治療します。キリストが行った奇跡と同じであり、PINN、つまりウィルはまさしく「神」になったと自負します。
しかしそのウィルは本当に生前のウィルなのか? 友人の研究者たちは記憶を持っているだけで、機械にしか過ぎないと言います。しかし二人の出会いを覚えていたり、妻の望む世界を知っているPINNは、エヴリンにとって紛れもなく夫なのです。人間の意識とは、自我とは何かを考えさせてくれる映画です。
ネタバレになるので結末は書きませんが、私は感動して泣きました。そして「自我」というものが持つ強固な現実意識と、同時にそれがいかに脆弱なものであるかも感じさせてもらいました。壮大なテーマですから、映画という限られた世界で表現するのは難しかったと思います。その誠実さが伝わってくる映画でした。
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