死を意識する生き方
春です、春です!今日は間違いなく春の陽気です。
家を出るときはいつも通り上着をはおっていましたが、帰りの登り坂ではそれを後悔するほどでした。暖かいを通り越して暑かったです。
散歩中に出会った梅の花は満開を迎え、その地面は散った花びらでピンク色に染まっていました。耳を澄ませるとヒヨドリたちが嬉しそうな鳴き声をあげていますし、桜のつぼみは何となく膨らみを増したように感じます。
私が住んでいるのは神戸市の灘区ですが、お隣の東灘区の岡本には有名な梅園があります。これから数週間は見頃かもしれませんね。岡本は美味しいケーキ屋さんやパン屋さんがある街ですので、梅見を兼ねて行ってみようか思う陽気です。まだまだ寒さが戻って来るでしょうけれどね。
さて、昨晩はネットのニュースを見ていて驚きました。歌舞伎役者の坂東三津五郎さんが亡くなったとのこと。59歳といえばこれから歌舞伎役者として本領を発揮される年代です。惜しい。本当に惜しい。そして残念です。ご冥福をお祈りしたいと思います。
中村勘三郎さん、市川團十郎さんと歌舞伎界の逸材を失い、またこうして訃報を聞くことになりました。昨晩「信じたくない……」とたった一言だけのブログを更新されていた市川海老蔵さんのブログを見て、歌舞伎界が大きな悲しみに包まれているのを感じました。
何度か入退院されていたのですが、昨年の4月に舞台復帰されたので安心していました。つい最近までテレビの収録等もされていたようです。でも三津五郎さんご本人は、自分に残された時間と向き合っておられたのでしょうね。昨晩、その「死」について考察された本を読了しました。
『よく生きるということ 「死」から「生」を考える』岸見一郎 著という本です。
岸見さんはベストセラーとなった『嫌われる勇気』というアドラー心理学入門書を執筆された共著者のひとりです。昨年出版されたと同時に、私にしては珍しくその『嫌われた勇気』を購入しました。それ以来おそらく7〜8回は読んだと思います。このブログでも過去に紹介しましたが、それほど大好きな本です。
私はそれからアドラーという人物に魅せられまして、岸見さんの過去の著書を読み漁りました。岸見さんが翻訳されたアドラーの伝記などは素晴らしい著作でした。日本にアドラー心理学を紹介された岸見さんですが、本業は心理学ではなく哲学なのです。実はギリシャ哲学が専門なのですよね。
私が最近プラトンの著作を読んでいたのは、実はこの岸見さんの影響です。この写真の本はアドラー心理学にも触れておられますが、岸見さんの哲学書と言っていい本だと思います。生と死について、ご自身の考えをじっくりと記されています。
岸見さんは50歳のときに心筋梗塞を発症されました。かなりの重症だったらしく、救急車で運ばれた病院にカテーテルの専門医がおられたので助かったという状況だったそうです。その後も心臓のパイパス手術を受けたりされましたので、自分の「死」についていろいろと考えられたとのこと。この本は、そうした岸見さんの体験から導き出されたものです。
タイトルを見て気になった方は、ぜひ読んでみてください。とても素晴らしい本だと思います。スピリチュアル的な死後世界や生まれ変わりという概念で「死」を捉えるのではなく、「今」どのようにして生きるべきかを問うている本だと思います。
人間の人生を生まれてから死ぬまでの時間軸として捉えるのではなく、「今」をどう生きるかを切々と説かれています。時間軸として人生を考えていると、平均寿命に基づいた人生設計をします。しかしもしかしたら、明日が自分の「死」を迎える日なのかもしれません。
「今」という瞬間において自分の人生を完結させる。そうなればいつ人生の最後がやってきても、精一杯生きてきたと思えるかもしれません。難しいことかもしれないけれど、そうありたいと願いつつ生きる。岸見さんがこの本を通じて書かれていたことは、そうした前向きに「死」を意識した生き方だと思います。そしてそれは私の人生観と、完全に共通する部分でもあります。
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