何だろう、この爽快感!
昨日の晴天は貴重でした。思い切って出かけて良かったです。
今朝は一転雨模様。それも台風のような暴風が吹き荒れています。起きてすぐにゴミを出しにいったのですが、ゴミと一緒に遥か西の山まで飛ばされてしまうかと思ったほどです。まぁ、それほど体重は軽くありませんが……
とりあえず明日には天気が回復するようですので、いつも通り出かけられそうです。今日は引きこもりで仕事をしつつ、先ほど読了した本があります。
『マリアビートル』伊坂幸太郎 著という本です。
先日今年の「本屋大賞」が発表されました。受賞は逃されましたが、伊坂さんのノミネート作品である『アイネクライネナハトムジーク』は図書館で予約中です。その前に伊坂さんの作品を読みたいと思っていました。ちょうど手持ちの本が無くなって予約待ちばかりになりましたので、先日図書館に寄った時にこの本を見つけました。新作本の棚に返されたばかりだったのです。
何も考えずに手に取りました。お恥ずかしい話ですが、実は伊坂さんの作品を読んだことがなく、どのような小説を書かれる方なのか知りませんでした。自宅に戻って読み始めましたが、なんじゃこの小説〜〜〜! 面白すぎるやんか〜!
テンポ感が小気味よく、様々な人物が複雑に絡み合ってくる小説です。何と言ってもキャラの設定が素晴らしい。基本的に殺し屋ばかり出てくるのですが、不運な男だったり、「機関車トーマス」オタクだったり。もうとにかくハチャメチャな世界が展開します。それでいて人間関係が面白いので、ページを進むほどに先が気になって本から手が離せなくなります。
舞台は東北新幹線です。東京から盛岡までの車内の出来事が小説の中心です。その車内には、実はとんでもない人間が大勢乗り込んでいました。檸檬と蜜柑という二人の殺し屋は、仕事の依頼をほぼ果たしました。依頼者の息子を誘拐した犯人たちを皆殺しにして、依頼者が用意していた身代金と息子を盛岡まで届けたら仕事は終了です。
ところが身代金の入ったトランクを誰かに奪われます。さらにトランクを探している間に、助け出した息子を誰かに殺されるのです。依頼者はとても恐ろしい人間です。このままでは檸檬と蜜柑の命も危ない。
ある筋から依頼を受けてそのトランクを盗み出したのは、主人公の七尾という人物です。世界中の不運を引き寄せたような人間ですが、実は優秀な殺し屋でもあります。この3人が絡み合って、コントのように笑い転げる展開が続きます。
さらに王子という、性悪な中学生を殺すために新幹線に乗りこんだ木村という男がいます。自分の息子をビルの屋上から突き落としたのが、その王子です。意識不明の状態が続いていて、王子が新幹線に乗るのを知った木村は殺人を計画します。しかし王子は普通の中学生ではありません。それは木村をおびき寄せる罠だったのです。
おまけにトランクを奪い合っている3人の殺し屋の存在を知った王子は、自分からそのドタバタに絡んでいきます。大人を困らせて翻弄させ、自分の自由に操ることが狙いです。小説を読んでいても憎ったらしくてたまらないガキです。そこに怪しい車内販売の女性や車掌が関わってきます。
とにかく大笑いする小説です。バタバタと人が死んでいく物語ですので、本当は楽しい話ではありません。どちらかといえばオドロオドロしい世界です。でも、登場人物たちのやりとりが面白くて、つい吹き出してしまいます。物語のキャラを設定するうえで、とても勉強になりました。
そして不思議なことに最後まで読みきると、言葉にできない爽快感を持つ小説です。何だろう、この爽快感は。気になる方は、ぜひ読んでみてくださいね。時間を見つけて、伊坂さんの他の作品も読んでみようと思います。追っ掛けする作家が多くて、大変ですが楽しいで〜〜す!
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