こんな死神なら、迎えにきてほしい
今日から6月です。いよいよ今年の前半戦の締めくくりです。私にとって大切な夏至がありますから、次の冬至までのテーマを考える時期になりました。ほぼ決まっていますから、気持ちを高めていくだけです。
見ての通り、夏のような神戸の天気です。風は乾燥して爽やかですが、日差しは厳しい。しっかり水分補給しないと、往復2時間の買い物はバテバテになります。と言いつつ、帰りはバスに乗っていますけれどね。
6月になりましたので、アジサイの花もアップしておきます。この時期歩いていると、様々な形をしたアジサイに出会えます。雨露に濡れたアジサイが好きなので、久しぶりに雨が降ってほしいなぁと思います。
でも明日は晴れてほしいかも。通っている図書館は今月に蔵書点検があります。一週間ほど休館になります。
いつだったかなぁと思い昨晩ネットで調べると、3日からとのこと!
今日の月曜日はもともと休館ですので、明日しか開いていません。私は活字の海を泳ぐ回遊魚みたいなものですから、活字がないと生きていけません
ですから明日は図書館のためだけに、わざわざ外出することになりました。できれば雨の中行きたくないですからね。
ということで手持ちの本を先ほど読了しました。
『死神の精度』伊坂幸太郎 著という本です。
6つの短編からなる作品ですが。共通して登場してくるのが「千葉」という名の死神です。常に男性ですが、若者から中年まで自在に姿を変えることができます。ターゲットの人間に接触して、その人間が「死に値する」かどうかを判定します。「可」か「見送り」のどちらかです。
大勢の死神が人間に扮して紛れ込んでいます。そのほとんどが適当に仕事をしています。「どうせ可でしょう」という態度で仕事をしていますから、顔を見ただけで判定する死神がほとんどです。ところがこの千葉は、「どうせ可だろう」と思いつつ律儀に判定します。
接触してから7日以内に答えを決め、「可」の場合は即実行されます。死の瞬間に立ち会ったら、それで仕事は終わりです。逆にいうと、判定が出なければ7日間は絶対死にません。だからその一週間に、いろいろなドラマがあるわけです。
伊坂さんにしては短めの作品ですが、最高に面白かったです。特にこのすっとぼけた千葉という死神のキャラが最高です。そしてどこか情に厚い部分を持っています。千葉は典型的な雨男で、太陽を見たことがありません。仕事中は必ず雨が降っていて、冬なら大雪です。
死神たちが関わるのは不慮の事故や事件のような死です。だから病死や自殺に死神は関与していません。自殺をした人を「死神に取り憑かれた」と表現したりすると、千葉は「私たちには関係ない」と淡々と否定するようなキャラです。
死神たちは音楽が大好きです。CDショップの視聴コーナーに行くと、千葉はいつも同僚たちに出会います。深夜のCDショップでいつまでも音楽を聴いている人がいたら、死神だと思って間違いないそうです
いろいろな人間の人生模様を見ることができて、とても素敵な作品でした。全く関連のない6つの物語で構成されていると思い、最後までそのつもりで読んでいました。ところが最終章の最後の最後で、不覚にもポロポロと涙をこぼしてしまいました。
ターゲットは70歳を超えた年配の女性です。相変わらず雨が降っています。でも最後に、千葉は初めて青空を見るのです。何百年も人間に関わってきて、初めてみる晴天でした。その横にはターゲットの女性がいます。
その時、千葉は気付きます。その女性が初めて会った女性でないことを。私も気付きました。そして感動の涙が止まりませんでした。う〜ん、伊坂さんにしてやられましたね〜〜!こんな素敵な死神なら、迎えにきてほしいと感じました。
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