誰もが仮面をかぶっている
太陽の光は射し込んでいますが、空はもやっています。ここのところ朝から夕方にかけて、大阪方面が見えない日が続いています。梅雨の湿度のせいでしょうかね。それでも木陰では気持ちのいい風が吹いていますので、今日も午前中はしっかりと大物の買い物をしてきました。そして仲良しのワンちゃんにご挨拶です。
名前はダンディです。自宅マンションから駅までの途中で会うワンちゃんです。冬になるとサンタクロースの衣装を着て散歩しています。夏には可愛いツバのついた帽子を被って飼い主の女性と散歩しています。
このワンちゃん、とても頭のいい子です。犬というよりは、猫のような性格です。「ダンディくん!」と声をかけたら、今日のように挨拶に来てくれることがあります。でも気が向かないと、チラッとこちらを見て無視。いつでも愛想よくするかよ、ってな雰囲気ですね。
いつもクールなダンディですが、一度だけ飼い主の男性といるのを見たことがあります。いつもは年配の女性なのですが、そのときはご主人が家におられたのでしょう。まるで子犬のようにピョンピョンと飛び跳ねて喜びを表現していました。お父さんが大好きなのでしょうね〜〜!
さて、昨晩読了した本です。
『マスカレード・ホテル』東野圭吾 著という本です。
どうやらこの作品もシリーズ化されているようです。個人的には今まで読んだ東野作品でトップ3に入る面白さでした。他の2作はすぐに名前が出てきませんけれどね〜〜〜
舞台は「ホテル・コルテシア東京」という架空の高級ホテルです。東京都内で3件の予告殺人事件が起きます。事件現場に残された不可解な暗号から、次の連続殺人の犯行がこのホテルだと分かります。
そこで私服警官をホテルの職員として潜入させることになります。最も犯人と接触する可能性の高いフロントには帰国子女で英語が堪能な、新田浩介という若い刑事。そしてその新田を指導するのが山岸尚美というフロントの責任者です。どちらも若いですが、刑事、そしてホテルマンとしてはそれぞれ一流です。
ところが決定的に違うのはその視点です。刑事は人を疑うのが仕事。ホテルマンは人を信用するのが仕事です。その二人の視点の違いがこの物語を最高に盛り上げてくれています。そしてお互いが理解し合うようになって視点を共有するようになったとき、事件が解決に向かっていくという構成です。
この物語の最大の魅力は、普段は見えないホテルの裏側が克明に描かれていることですね。なるほどこういうシステムになっているのか、と感嘆してばかりいました。いわゆるスキッパーと呼ばれている、宿泊や食事をして料金を払わず逃げる人間についても詳しく書かれています。
ホテルというのは様々な人間がやってくる場所だとよく分かります。
ストーカーに追われていると見せかけて、男女関係のもつれを解消させようとする若い女性。
目が見えない夫がひとりで宿泊するのに備えて、自分が盲目のフリをしてホテルのサービスを確認しにきた年配の女性。
教育実習で高校生にいびられて教師になり損ねた男は、ホテルの従業員になったその高校生に復讐するため、無理難題をふっかけたりします。
というように誰もが、自分の素性を隠して仮面をつけています。だからこの物語のタイトルは仮面舞踏会であるマスカレードを使っているのですね。もちろん主人公の刑事もホテルマンという仮面をかぶっています。さらに物語が進むにしたがって、ホテルの幹部や警察の幹部まで仮面をかぶっていることがわかります。そうした人間の裏表を描きながら、連続殺人犯を捕まえるという物語です。素晴らしい作品でした。
人間というのは、一歩外に出れば何らかの仮面をかぶっているものですよね。私もサラリーマンをしている頃は、家を出た瞬間に仕事用の仮面をつけていたように思います。そして心のエンジンをブンブン吹かして、目一杯テンションをあげていました。だから疲れちゃうのですよね。スッピンを見せてホッとできるのは、家族だけかもしれませんね。
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