ガストンとの対話2 Vol.30
ガストンさん、お盆が近づいてきて、夏の帰省ラッシュの時期になってきました。
「年末年始に比べればマシだろうが、それでも大変じゃな」
そうですね。必ず移動しなくてはいけない人は、本当に大変だと思います。お盆は先祖もあの世から帰ってくると言われていますから、一族勢ぞろいというところですね。
「わはは、毎日大勢の人間が死んでいるわけだから、あの世からの帰省ラッシュは人数が増えるばかりで大渋滞であろう。だが、まさかそんなことを信じているわけではないだろうな?」
子供の頃は信じていて、マジで怖がっていましたけれどね。だって先祖とはいえ、家のなかに霊がいると思ったら気味が悪いです。この時期になると、先祖供養という言葉が気になります。やっぱりお墓まいりには、いくべきなのでしょうか?
「行きたいならいけばいい。必要ないと思うならそれでいい」
先祖供養は自分の生き方で示すもの、と私は考えています。私が先祖の立場なら、血を受け継いだ子孫がこの世に生まれてきたことを感謝して、毎日を幸せに生きてくれていたら満足です。それ以上に望むことはありません。だから私は、日々の時間を大切に生きることが先祖供養だと思っています。
「それもひとつの考え方だ。他人に強制する必要はないが、お前さんがいいと思っているのなら、それでいい」
でも先祖供養をしないと先祖が祟る、という人もいます。不幸の原因は先祖を供養していないからだ、と脅す人さえいます。歴史的にみても、神社というのはそうした祟りを恐れて建立されたものが多いですね。日本の歴史は、怨念の歴史と言っていいかもしれません。祟りというものは、存在するのでしょうか?
「以前にも対話したが、霊魂と呼ばれているものは人間の自我の残像だ。それゆえひどい仕打ちで命を奪われた場合、当事者に対して何らかの物理的アクションを引き起こす場合がある。だが肉体を失った残像ができることは、たかがしれている。祟りという現象は、人間の罪悪感が引き起こすものだ。祟りを起こしているのは、祟られることを恐れている当人なのだよ」
なるほど。罪の意識が、無意識的に自分を罰しようとしているのですね。ということは、罪悪感を感じていなければ祟られることはないのでしょうか?
「そうだ。例えば狂人が人を殺めたとしても、祟りを引き起こすことは少ない。だが人間の罪悪感は、潜在意識まで含めて考える必要がある。どれだけ顕在意識で罪悪感を否定しても、人の命を奪うことで心に痛みを抱える。なぜなら全てはひとつだからだ。殺したのは他人だと思っているが、それは自分でもあるからだ」
それなら戦争で爆弾を投下した人がいるとします。上官の命令なら拒むことはできないでしょう。任務だと思って自分の心に折り合いをつけたとしても、大勢の人間を殺した罪悪感を持ってしまうのですね。そして自分を罰しようと思ってしまえば、祟り的な現象を起こしてしまうのかもしれない。
「罪悪感は潜在意識だけの問題ではない。集合意識にも関わってくる。集団で共謀して誰かの命を奪った場合、その集団の集合意識が罪悪感を持つ。そうするとその集団に対しての祟りを、その集合意識が引き起こすこともある」
だからその罪悪感を消失させるために、歴史上の権力者は神社を建立するのですね。殺された相手の霊魂を慰めるという行為を通じて、自分や自分たちの罪悪感を鎮めているのですね。そう考えると、先祖供養も同じ性質を持っているのかもしれません。
「そういうことだ。だからわしは好きにすればいい、と言ったのだよ。お前さんのような考え方であろうと、熱心に墓まいり等の先祖供養をする人であろうと、その行為は正解でも間違いでもない。供養というものは、この世に残された人間の心の在り方だ。死者に対して自分の思いをどのように決着させるか、という心の表れなのだよ。だから方法はどれだけあってもかまわない」
そうですよね。世界的な視野で見れば、宗教や国の慣習によって方法が異なってきます。仏教式の先祖供養でないとダメだと言ってしまえば、外国人は先祖供養ができないことになってしまいます。そう考えると、宗教家たちの儲け意識が過分に入り込む余地がありますね。
「宗教というのは、権力と財力を牛耳る方便として利用されるからな。お盆は自宅に霊が帰ると言っているくせに、僧侶はお墓まいりを勧める。墓の霊は留守ではないのか? さらに来月になればお彼岸だと言って、墓まいりを勧める。まぁ、お布施をもらえる機会が多ければ多いほどいいのであろうな」
それは他の宗教でも同じですね。大切なのは方法ではなく、自分がどのように考えるかだとわかりました。どんな場所にいても、自分をこの世に存在させてくれた先祖たちのことを思うことはできます。そして何よりも大切なのは、今、生きている私たちが幸せであることですね。
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