共感できる復讐
昨日と同じく雨が降ったりやんだりの神戸です。気温は低いのですが、湿度が高いのでちょっぴり不快な汗をかいています。でもそんな鬱陶しい雰囲気を吹き飛ばすものが到着しました!
先行予約していた、エルトン・ジョンのライブチケットです。嬉しいことにアリーナ席をゲットできました。抽選なので期待はしていませんでしたが、やっぱりアリーナの文字を目にすると幸せです。ステージの組み方によってどのような席になるかわかりません。でも一般的な席の配置図で見ますと、少し右寄りですがアリーナの半分よりも前の席でした。十分に満足です。
関西で大きなライブがある時は、京セラドームと大阪城ホールがよく使用されます。京セラドームは大勢の観客が入りますが、音があまり良くないのです。でも今回エルトン・ジョンのライブが行われる大阪城ホールは、圧倒的に音が良いのですよね。想像していたより良い席で、エルトンの美しい歌声を満喫できそうです。大阪城ホールに行くのは、一昨年のKISSのライブ以来です。11月が待ち遠しい〜〜!
さて、先ほど読了した本です。
『死神の浮力』伊坂幸太郎 著という本です。
以前に『死神の精度』という作品を読みましたが、その続編です。千葉という名の死神が主人公となる物語です。伊坂さんの作品の中で大好きなシリーズでして、前作は短編集でしたが、今回はかなりの長編でした。でも前作をはるかに超える面白さで、時間を忘れてページを繰っていました。
このシリーズの死神は、一週間ターゲットをマークします。そして死ぬことに関して「可」か「見送り」のどちらかを報告します。「可」の報告をした死神は、8日目にターゲットの死に立ち会って仕事が終了します。普通の死神はろくに仕事をしないで「可」の報告をします。しかしこの千葉という死神は、必ず一週間接触を続けて、判断を下します。まぁ、大抵は「可」なのですけれどね。
今回のターゲットは小説家。10歳の娘を殺されて、妻とともに犯人に対する復讐だけが生きがいの人物です。犯人はすぐに逮捕されます。ところが証人が証言を覆したりして、無罪判決が出ます。実はその無罪判決を誘導したのは、殺された被害者の両親である作家夫婦でした。
なぜ犯人の無罪を望んだか?
それは自分たちが直接手を下すためです。作家夫婦は犯人が有罪であることを知っています。なぜなら娘を殺す場面をその犯人は映像で送りつけてきたからです。犯人はサイコパスでした。相手を征服して屈服させることしか考えていません。ウィルスを仕込んで消失する映像を送りつけておきながら、自分が無罪になることを仕組んでいました。そして作家夫婦をさらに苦しめようと様々な計画をしています。
無罪放免された犯人を拉致して、簡単に死なせず、娘と同じ苦しみを与えようとするのが作家夫婦の目的でした。警察や司法の手に委ねても、すぐに刑務所から出てきます。それまで待てない。娘を奪われた苦しみから解放されるためには、犯人を無罪にして自由にすることが必要でした。
こんなこと私は絶対にできませんが、この夫婦の気持ちに共感できます。私には子供はいません。でも、ミューナが誰かの手にかかって命を失うことがあったら、直接その犯人に同じやり方で復讐してやる、と真剣に思ったことがあります。想像しただけでそんな気分になりますから、この物語のような出来事に遭遇したら、同じ選択をするかもしれません。でも、その犯人はもっと上手でした。だってサイコパスですからね。
そんな夫婦に死神の千葉が関わることで、シリアスながらも笑いの絶えない物語になります。このあたりが伊坂さんの才能豊かな部分だと思います。胸がキュンと痛くなるほど気の毒な作家夫婦に感情移入しながらも、ついクスッと笑ってしまいます。
ところがその犯人を担当していた別の死神は、珍しくも「見送り」を報告します。今後犯人は20年間、何があっても死なないわけです。つまり作家夫婦の復讐は成就しないことになります。千葉と作家夫婦に感情移入して読んでいると、サイコパスには屈するしかないのか、と暗澹たる気持ちになります。
でも、でも、最後にはスッキリします。あぁ、最後まで読んで良かった、と思います。もちろん死神である千葉の、超トンチンカンな大活躍のおかげです。前作を読んでいなくても楽しめる内容になっています。機会がある方は、おすすめですので是非読んでみてください。「死の恐れ」について、とても素敵なやり取りを読むことができますよ。
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