笑えないブラックユーモア
どうやら爆弾低気圧が近づいているとのこと。神戸は朝から雨が降ったり止んだりの天気です。まだ風は静かなので、これから夜にかけて荒れるのかもしれませんね。北海道あたりに低気圧が移動した時は、台風並みの暴風雨になるそうです。大きな被害が出ないことを祈っています。
昨日の散歩中に出会った親友のノブにゃんです。以前寝ぐらにしていた空き家が建て替えされてしまいました。でもこの写真の家が新しい落ち着き場所になったようで、健康で幸せそうに暮らしています。ケージや餌入れも置いてもらっているので安心。今夜は雨風が強くなったら、この写真のケージに入れてもらうのかな？
さて今日の午後は、コメディ映画を観ました。ブラックユーモアの映画です。確かに面白くて笑うのですが、心のどこかに怖さを感じる映画でした。
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』（Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb）という1964年に公開されたアメリカ映画です。
まぁ、なんて長いタイトル。あまりに長いので一般的には『博士の異常な愛樹』と呼ばれているそうです。『2001年宇宙の旅』で有名なスタンリー・キューブリック監督の作品です。
私が２歳の頃の映画です。ちょうどアメリカとソ連が冷戦の真っ最中ですね。映画もその冷戦がテーマとなっています。
ある基地の将軍がとんでもない行動に出ます。冷戦状態を継続しているより、いっそ核爆弾で一気にソ連を滅亡させようと計画します。通常は大統領の最終決定がなければ核爆弾を使用することはできません。ところがひとつだけ例外があります。ワシントンが先制攻撃を受けて大統領と確認が取れない場合、現場の指揮官の判断でミサイルを撃ち込むことができます。それが「作戦R」と呼ばれているものでした。
全く攻撃を受けていないにも関わらず、その将軍は基地を閉鎖して「作戦R」を指示します。その命令を受けてソ連の周辺を警戒していたいくつもの爆撃機が、核爆弾を積んでソ連に向かいます。無線は暗号通信のみとなり、命令を発した将軍だけが知る暗号がなければ、大統領であっても作戦を中止できません。
おまけに悪事が暴かれそうになった将軍はピストル自殺をしてしまいます。しかしその部下が必死で暗号を探り出して帰還命令を出すことができます。ここまでの内容ではシリアスな映画だと感じるかもしれませんが、これがコメディとして進行します。かなり笑いますよ！
ところがソ連の攻撃で無線を破壊された爆撃機が１機ありました。その爆撃機だけ無線連絡をすることができません。おまけに燃料の予備が少なく、低空飛行しているのでソ連のレーダーにもかかりません。アメリカの大統領とソ連の首相が協力して撃墜しようとしますが、結局爆弾は投下されてしまいます。そこで自動的にソ連の報復システムが働いて、地球は生物の住むことのできなくなる惑星になる、という何とも笑うに笑えない結末です。
すでに故人ですが、『ピンクパンサー』シリーズで有名なピーター・セラーズがひとり三役の大活躍でした。彼らしいコメディに仕上がっていて、とても楽しく観ることができました。モノクロ映画ですが、かえってリアルに感じる作品です。
それにしてもこの映画の設定自体が笑えません。実際の冷戦時代、キューバ危機では戦争になっていたかもしれませんからね。現代において、こうしたシステムで戦争が起きるとは思いません。でも同じような構造を持つ予想外の出来事で、戦争が起きることがあるかもしれません。そう思って観ていると、笑うに笑えないブラックユーモアでした。
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