幽霊と暮らすのもいいね
相変わらず今日も秋晴れです。でもいつもと何か違います。
暑い! 久しぶりに暑さを感じました。買い物を済ませて帰りも歩きましたが、久しぶりに汗びっしょり。かなり疲れました。
こんな可愛い花を見ていると、秋を感じますね。でも今日は暑かった。
帰り道の途中の小学校で、地域の運動会が行われていました。久しぶりに運動会の雰囲気だけ見て、ちょっとワクワクしました。相変わらずBGMは運動会独特のベタな選曲です。でもそのほうがかえって雰囲気が出ますね。少し暑く感じたとしても、運動会には最適な天気だったと思います。
さて、もしあなたが幽霊と暮らすほうが幸せだとしたらどうしますか?
もちろん一緒に暮らすのはこの世にいない人です。場合によっては自分も死んで幽霊になる必要があるかもしれません。でもそれが最高に幸せなことだったら?
そんなことを考えてしまう映画を観ました。
『永遠のこどもたち』(El Orfanato)という2007年のスペイン・メキシコ映画です。
ジャンル分けするとしたら、オカルトやホラー映画と言っていいでしょう。次の連載小説でホラーを書く予定ですので、こうした映画をチョイスしています。でも見終わってから感じたのは、恐怖ではない、何か不思議な安堵感を持つ映画でした。
孤児だったラウラは夫と7歳の息子のシモンを連れて、閉鎖された孤児院に移り住みます。かつてラウラが暮らした場所です。孤児院を再開して、自分と同じような境遇の子供たちを助けるためです。でもその孤児院には悲劇の歴史がありました。
ラウラが里親に引き取られたあと、奇形だった子供がいじめられ、命を落としてしまいます。その子供の母親は、その孤児院で働いていました。怒り狂った母親は、残る全員を毒殺してしまいます。そして遺体を物置に隠してしまいます。そのまま孤児院は閉鎖され何十年も経過しました。
もちろんラウラはそうした事実を知りません。ところが息子のシモンは、目に見えない子供たちと遊ぶようになります。そうしたある日、シモンは行方不明になります。まるで、その見えない子供たちに連れ去られたように。
ラウラは必死で探しますが、9ヶ月が経過します。そして諦めてその孤児院を離れようとする直前、秘密の地下室を見つけます。そこで変わり果てた姿のシモンを見つけます。意図的ではなかったのですが、その地下室の存在を知らなかったラウラが出入り口を閉じてしまったのが原因でした。絶望したラウラは、大量の薬を飲んで後を追うという、何とも悲劇でしかない物語です。
かなり省略したストーリーですから、もっとオカルト的なシーンがいくつもあります。そういう意味では恐怖を感じる映画でもあります。
けれどもあの世にいったラウラは、かつての孤児院の友人たちと再会します。もちろん彼らは死んだ時の子供のままです。だから『永遠のこどもたち』なのです。そしてそこには愛する息子のシモンもいるわけです。それまで苦悩に満ちた人生を歩んでいたラウラが、この映画で最も幸せそうな笑顔を見えます。その気持ちが伝わってくると、先ほども書いたような何ともいえない不思議な安堵感を持ちました。これでよかったのかも、とつい思ってしまうのです。
スペインやメキシコの死生観がどのようなものか知りません。この映画は観る人によっては、理解できないどころか、反感を持つかもしれません。死んでどうなるのよ、という気持ちを持つはずです。そのあたり、賛否が分かれる映画でしょう。
私は妙に肯定的な印象を感じました。このまま幽霊と暮らすのもいいね、と思いました。
先日のブログで紹介した『ドリームハウス』というダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズが共演した映画も、私は同じ感想を持ちました。この映画については新鮮な驚きを感じてほしいのでネタバレしませんが、同じ内容のことを考えてしまいます。
日本の古い怪談で、『牡丹灯籠』という物語があります。私はこの物語を知った時も、子供ながら同じ感想を持ちました。幸せだったのなら、そのまま死の世界で暮らせばいいのでは。そう思ったのですよね。
別に死ぬことを勧めているわけではありません。そういう意味では、この映画を肯定していません。何があっても人生を生き抜くことが大切だと思い、それを実践するべく日々を過ごしています。
ただ幸せの形というのは、いろいろあっていいと思うのです。こうでなければいけない、というのは押し付けです。こうした映画や物語は、決して死を推奨しているのではなく、特定の幸せの『形』に執着することの無意味さを教えてくれているのでしょう。
私が安堵感を持ったのは、そうした部分です。死というものに対してさえ幸せの概念を持ち込めるほど、人間の意識は広大だということです。幸せを感じることができるのなら、幽霊と暮らすのもいいかもしれませよ〜〜!
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