長所を伸ばすなんて無意味
今日から11月です。早いもので、今年も残すところ2ヶ月。外の空気もすっかり秋らしくなってきました。
買い物途中に通る神社のイチョウは、かなり黄色が濃くなってきました。六甲山もちらほらと赤い色が目立ち始めています。六甲山ケーブル下駅行きのバスは、臨時が出ていました。大勢の方が山頂まで登られているのでしょう。
京都も観光客の方が増えているでしょうね。同窓会に行くつもりでJR京都駅までの格安切符を買っていましたから、秋の京都に行こうかなと思っています。先日行ったばかりですけれどね。
昨日ネットで、横浜のマンションで起きた杭打ちデータ偽造に関して興味深い記事を読みました。このような施工不良マンションが建築される要因として、新築マンションの「青田売り」が影響している、という記事です。なるほどなぁ、と納得して読みました。
私は京都と神戸で新築マンションを購入しました。当然ながらどちらも「青田売り」の物件です。パンフレットとモデルルームだけを見て販売業社に申し込みます。住宅ローンを利用するのなら、そこで金融機関に審査を依頼します。融資が決定したら、手付を打って契約です。
つまりまだ建築途中の段階で、マンションの金額が決められ、引渡しの期日も約束されます。ところが海外ではこうした販売方法はほとんど取られないとのこと。内装や設備の施工前の段階まで完成してから、ようやく契約をするそうです。これを「スケルトン売り」というそうです。
ではなぜ「青田売り」なら施工不良が発生しやすいか。それは引渡し期日と建設費用が基礎工事の段階で確定しているからです。ですから絶対に期日内に工事を終えなくてはいけません。あぁ、杭打ちがヤバいかも、と思ってもやり直す時間がありません。
さらに材料費が上昇する物価状況の場合、当初の予想より経費がかさむことになります。そうするとそのしわ寄せが下請け、孫請けに課され、限られた予算で利益を出せるような工事をせざる得なくなります。つまり手抜きですね。
「スケルトン売り」の場合、内装工事に入る前で契約しますから、完成時の物価に適応した販売価格になるので業者に負担はかかりません。さらに最初から、予定された完成期日が遅れることは当然として認識されているそうです。だから杭打ちがヤバイとなると、やり直す時間があるとのこと。
なるほどなぁ、と感心しました。それと同時に「青田売り」は日本人らしい発想だと思いました。「青田売り」のメリットもあるのですよ。契約時が3,000万円のマンションが、不動産価格の上昇期なら完成時に4,000万円の価値になっていることがあります。逆に1,000万円価値が下がる局面なら、手付金がその金額以内なら放棄することで損害を最低限にとどめることができます。メリットとデメリットは、どんな方法でもあるものです。
ただ日本人に「青田売り」が好まれるのは、民族性のような気がします。時間に正確な日本人らしい考え方です。決められた期日に引き渡す。そのことが美徳とされています。列車が5分遅れただけで、謝りたくっている車掌さんがその民族性を象徴しています。ヨーロッパでは列車が遅れるのは当たり前みたいなものですからね。
そのような時間に正確な日本人の気質は、ある意味長所だと言えます。しかし同時に今回の施工不良の要因となっているのは、そうした期日厳守主義です。つまり長所というのは、見方を変えれば短所であるわけです。せっかちが短所だと言われる人は、決断力の速さが長所となるかもしれません。そんなものケースバイケースだということです。
子供の頃には長所を伸ばしなさい、と教師や親が口癖のように言います。言われた通り必死で意識することで、同時に短所を助長しているかもしれません。これって、特定の価値観を押し付けているだけですね。長所を伸ばすなどという発想は、無意味な価値観を自分に植え付けるだけでしょう。
自分の好きなこと、楽しいと感じること、時間を忘れて没頭できること。そうした具体的なことに対してエネルギーを注ぐほうが有意義です。そのほうが人生を豊かにしてくれるでしょう。長所や短所という分類は、誰かの価値観の押し付けだと考えたほうが無難です。そんなことを真剣に受け取るのは時間の無駄です。
マンションの記事を読んでいて、そんなことを考えていました。
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