世の中、神も仏もない?
今日は晴れの予報だったのに、すっきりしない空模様の神戸です。でも空気が冷たいので、歩くにはちょうどいいくらいの気候でした。
滅多に会えないシロちゃんにも会えましたから、今日はいい日かもしれませんね。
いい日といえば、今日から大阪万博跡地のモール街がオープンしたとのこと。『万博公園ららぽーとエキスポシティ』という名前だそうです。なぜ木曜日をオープンにしたのか気になりましたが、暦を調べてみると今日は大安。
う〜ん、その気持ちがよくわかります。だって、ここはエキスポランドという遊園地があった場所です。私が子供の頃からあった遊園地で、万博の雰囲気が残された施設でした。ところが遊園地で死亡事故があってから……結局閉園してしまいました。
各地で関西の遊園地が閉園していった不景気な時代の波に耐えていましたが、死亡事故で閉園が決定的になってしまいました。だから復活を期したモール街は、大安の日にオープンをしたい、という気持ちがよくわかります。成功すればいいですね。
多分私は行かないだろうなぁ。神戸から行くには、ちょっと中途半端な場所なのです。同じららぽーとなら甲子園にありますし、近くにもっと大きなモール街がありますから。と言いつつ、しばらくしたら行っているかもしれませんね。
それにしても遊園地で事故が起きた時、被害者の家族や友人、そして遊園地の関係者は思ったことでしょう。「この世には神も仏もないのか」と。予想できない悲しみや不幸に突然見舞われた時、人間はそう呟くことがあるでしょう。主人公がそんなセリフを吐きまくる、という小説を読みました。
『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎 著という本です。
伊坂さんの作品を集めた短編集です。全く違うテーマで書かれた短編ですので、全体として統一されたテーマはありません。ところが共通する人物を登場させるのがうまい伊坂さん。首折り専門の殺し屋である大藪や、泥棒が本業である探偵の黒澤が、物語の鍵を握る人物として登場します。そしてそれぞれの短編で主人公が「神も仏もないのか」と嘆くシーンが必ずあります。
テーマが統一されていない分、いろいろな話が読めてお得感がある単行本です。大藪という殺し屋も不思議な人間で、他人の命を殺める罪滅ぼしのために、異常なほど善行にこだわったりします。黒澤も優秀な泥棒なのですが、とても人間的な魅力に溢れた人物です。
最も印象に残ったのが、ある女性の物語でした。70歳を越えた女性です。間もなく死を迎えようとする夫の看病をしながら、探偵にあることを依頼します。20代の頃の恋人を探して欲しい、と。見合い結婚した夫との生活は幸せでした。でもとても平凡な人生だったので、その恋人と結ばれていたら、どんな人生だったのかを知りたかったのです。
もちろんそれを調べたのは黒澤です。難しい依頼でした。銀座で偶然に出会っただけで、たった4日デートしただけです。しかも相手は喧嘩で怪我をしていたので眼帯をしています。その女性は、小学生の頃に遊園地で迷子になって1時間だけ同じ迷子になった男の子の話もします。それほど運命的な出会いを二度も経験しているのに、なぜ見合い結婚だったのか、と自分の人生に疑問を持っていました。
ところが黒澤は、見事にその銀座の男性を見つけます。それどころか、小学生の時の男の子も見つけ出しました。依頼した女性はびっくりします。しかしさらに驚くことがありました。
自分が看病しているその夫こそが、彼女の探している男性でした。しかも遊園地の男の子もそうです。夫はもちろんそのことを知りません。結局その女性は、出会うべき男性といつも出会っていた。そしてその男性は目の前にいる人でした、という物語です。心が温かくなる話でした。
「神も仏もないのか」と嘆きたくなることが、人生には何度もあるかもしれません。でも同じくらい、「あぁ、救われた」と感じる瞬間があるのではないでしょうか? 先ほどの女性の心境ですね。
昨日のブログでも書きましたが、人生の結末は最後までわかりません。だけど、人生はそんなに捨てたものじゃない。私はそう思います。
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