私が書けば、絶対笑えない話
久しぶりに下り坂の天気です。朝から厚い雲に覆われていて、午後からは雨が降ってきました。太陽が見えない分、何となく肌寒く感じます。
昨日の散歩中に撮影した、近所のメタセコイヤです。ドサッと一斉に葉が落ちる木ですから、間もなく落ちそうな色をしていますね。もしかすると今日の雨で散り始めているかもしれません。寒い冬に備えた準備ですね。常緑樹にしても落葉樹にしても、自分たちのやり方で冬を越します。この時期になると、生命の神秘をいつも感じます。
今日は午前中に『妖精からの招待状』の実質的な最終回をアップしました。気が向いたら読んでみてください。明後日の午前中にエピローグをアップしたら、この連載は終了です。年明けにはブラッシュアップして、登場人物たちをもう一度輝かせてあげる予定です。
私は2012年に初めての出版を経験しています。そしてその後も物語を書き続けています。そんな私にとって、めちゃめちゃ面白いのですが、笑うに笑えない小説を読みました。
『歪笑小説』東野圭吾 著という本です。
東野さんにしては珍しく、コメディを集めた短編集です。といっても私は笑えません。なぜなら出版界の内幕を暴露したような小説ですから、笑うに笑えないのです。笑おうとしてもうまく笑えず、顔が歪みます。だから『歪笑小説』なのです。
以前読んだ『黒笑小説』と共通する人物が複数登場します。でも今回は出版業界の物語に限定されていまして、編集者、小説家、小説家志望者等が主人公になっています。一人で読んでいると私の笑い声が聞こえるので、妻が不思議がっていました。
とにかくキャラが面白すぎ。集英社が出版している本ですので、灸英社という出版社が舞台となります。『黒笑小説』では神田という編集者が出てきましたが、この作品では獅子取、小堺、青山という人物がさらに登場します。
獅子取は文芸書の鬼編集長で、どのような有名作家の原稿でも取ることができます。相手を喜ばせ、さらにへりくだって謝るのがうまい。必殺技として、誰よりも早く土下座をする、『スライディング土下座』という技を持ってます。もうお腹を抱えて笑ってしまいました。
あとは売れない勘違い小説家の熱海圭介や、期待されたながらも新人賞の一発屋で終わりそうな唐傘ザンゲという小説家が、『黒笑小説』に引き続いてレギュラーとして登場します。
私が最も笑いながらもマジになった短編は、出版社に社会見学で来た中学生たちにやり込められる物語です。赤字の小説雑誌をなぜ出版するのか? その問いに対して、編集者の青山は必死でうわべの回答をします。ところが中学生たちはその欺瞞を見抜きます。最後の最後で青山がブチ切れて本音を吐きます。これはおそらく日本中の全ての編集者が同意するであろ、そう思われるほどものすごい本音でした。顔が歪みましたね〜!
これは今やベストセラー作家の東野さんが書いているから、笑える小説です。もし全く同じ内容の小説を私が書いたとしたら、絶対に笑えません。だってマジな話になりますから。フィクションではなくノンフィクションになってしまいます。読んでいて身につまされる内容ばかりで、笑いながらも気分が落ち込みそうでした。
だってこの本が出版された時のキャッチコピーが『だから作家になんてなるものじゃない!』ですからね。
これは東野さん自身の体験談でもあるのだと想像しています。デビューされてから売れない時代を経験されているので、こうした物語が書けるのでしょう。でも今の東野さんだから書いてもシャレになるのです。そうでなければ笑えません。
百田尚樹さんが書かれた『夢を売る男』もテーマは同じです。出版界の内幕を暴露した小説です。これも百田さんだから笑えるのです。私が書けば、絶対笑えない話になります。こんな小説を書けるようになりたいものですね〜!
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