至誠の心を伝えた物語
冬型が緩むとのことでしたが、今日は風が強いので体感的にはこの冬で最も寒かったような気がします。荷物を持っての帰り道、強い北風を真正面から受けて何度も後ずさりをしました。急な坂道では、そのまま仰向けにひっくり返りそうでした。鳩や雀たちで賑わう場所も、心なしかひっそりしていました。きっとどこかで寒さをしのいでいたのでしょう。
いつも通る道にデイサービスがあります。和風の建物でして、玄関にはいつも美しい『和』の寄せ植えが置かれています。でも間もなくクリスマス。素敵な寄せ植えに変わっていました。
雰囲気は『和』なのですが、しっかりクリスマスしていますね。妖精たちが隠れていそうです。でも一週間後は26日。世間はお正月一色に様変わりしているのでしょう。
さて、ほぼ一週間遅れになりますが、ようやく『花燃ゆ』という大河ドラマの最終回を観ました。一年を通して最初から最後まで完走したのは、かなり久しぶりです。もしかしたら福山雅治さんの『龍馬伝』以来かもしれません。それほど面白かった、ということです。
世間的な評判はイマイチのようで、視聴率は最低ラインをキーブしていたとのこと。いろいろな理由があると思いますが、おそらく主人公が歴史的に有名な人物でなかったことが大きな原因かもしれません。私もこの杉文（すぎふみ）という女性の存在を初めて知りました。
でも知れば知るほど、とても魅力的な人物だと思います。そして彼女を取り巻く杉家の人々が、本当に素敵でした。幕末の激動の渦の中心に、この杉家が存在していたと言っても過言ではないでしょう。
文の兄は吉田松陰であり、夫は久坂玄瑞。ですから文の実家は松下村塾です。そこには高杉晋作や伊藤博文等がやってくるわけです。この小さな民家に集まった人物たちが中心になって、幕末から明治の日本を変えていったのですからね。
文も結婚して久坂文となり、夫の死後に名前を変えて久坂美和になります。そして姉の寿の夫だった小田村伊之助が楫取素彦と名を変えた明治になって再婚し、楫取美和となります。その度に大勢の人に影響を与え、新しい日本を作ることに寄与しています。
主役を演じた井上真央さんは、本当に素晴らしい女優さんだと思います。この一年間毎週見ていて、すっかりファンになりました。とても難しい役柄を、見事に演じられていました。お疲れ様でした、という言葉を心から送りたいと思います。
この物語は、至誠の心を激動の日本の人々に伝えた物語です。吉田松陰が座右の銘にしていた、孟子の言葉です。
『至誠にして動かざる者は、未だこれ有らざるなり』
この言葉の意味は、「こちらがこの上もない誠の心を尽くしても、感動しなかったという人にはいまだあったためしがない。誠を尽くせば、人は必ず心動かされる」ということです。
このドラマはこの言葉を兄から受け継いだ、美和の人生を描いたものです。そしてその通りに、人の心を動かしていきます。どれだけ無視されても、耳を傾けてもらえなくても、諦めませんでした。私が一年を通してこのドラマを見続けることができたのは、主人公のその真摯な思いに心を打たれたからです。
誰かの心を動かすことができないのは、まだ自分に誠を尽くす心が足りないということ。そのことを教えてもらえました。とても素敵な物語でした。
さて年明けの大河ドラマもトライしてみます。堺雅人さんが主演のようですね。また来年の今頃も、こうした感想が書ける内容であることを期待しています。
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