パラレルワールドでも同じ!
気温がようやくカレンダーとリンクしてきました。ピリッと空気の引き締まった、気持ちのいい寒さです。この時期は起床すると、ちょうどいい具合で朝日を拝むことができます。
今日の朝日です。目覚めてこの美しいオレンジ色の光に包まれると、全身の細胞が活性化するように感じます。ミューナも起きてくると、まずは太陽の光を浴びにいきます。動物も朝日の大切さを本能的に感じているのでしょう。
今年の新年の初日の出も、バッチリと撮影できました。今日ふと思いついて、iPhoneの待ち受け画面を初日の出の写真に変更してみました。
これがいい! スマホ全体にこれから登ろうとする新年の光が満ちています。よし頑張ろう、という気分になります。毎日眼にするものですから、待ち受け画面はワクワクするほうベストですね。思い切って変更して良かったです。
さて、昨日はとても興味深い番組がBSで放送されていました。
『男はつらいよ』のドラマ版です。1968年から1969年にかけて放送されていました。映画で有名な寅さんですが、最初はテレビドラマでした。それで人気が出て映画化されました。ところが当時はテレビドラマが二次利用されるという発想がなかったそうで、オンエアーが終了するとテープを上書きします。ですから保存されていません。
かろうじて保存されていたのが、初回と最終回だけです。一部分を特集番組で見たことはありますが、フルに見たことはありません。最初と最後だけですが、じっくりと見ることができました。
最も驚いたのが渥美清さんの演技。映画では48作もありましたから、寅さんというキャラは揺るぎないでしょう。ところがこのドラマの寅さんは、間違いなく映画の寅さんでした。セリフの言い回し、持っている雰囲気、所作等の全てが寅さんなのです。
ドラマの段階でキャラがきっちりと確定されていて、そのままの寅さんが映画に登場したことがわかりました。それを何の違和感もなく演じている渥美清さんは、やっぱり天才です。誰かから声をかけられる時、役名で呼ばれるようになってこそ、本物の役者だと言われていたそうです。渥美さんがご存命でばったり出会ったとしたら、「寅さん」と声をかけてしまいますよね。
キャストは微妙に違います。ドラマのさくら役は、長山藍子さん。おばちゃんは、杉山とく子さん。おじちゃんは映画と同じ森川信さんです。何人かおじちゃんはいますが、私は森川さんが一推しです。
面白かったのはこのドラマを通じてのマドンナ役が佐藤オリエさん。そのお父さん役が東野英治郎さん。つまり映画の第2作目と同じシチュエーションです。佐藤オリエさんの役名が、ドラマでは冬子で、映画は夏子ですけれどね。
映画ではさくらの夫は前田吟さんが演じる印刷工です。ところがドラマでは井川比佐志さんが演じる医者。でも同じ諏訪博士という名前です。さらにとらやは閉店して、最終回では喫茶店になります。そして最も映画と違うのは、寅さんがハブに噛まれて死んでしまうというストーリーです。
私は映画を全作品観ましたから、まるでパラレルワールドを見ている気分でした。ドラマのパラレルワールドでは、甥の満男は登場しませんし、タコ社長もいません。とらやの階段の位置が少し違ったり、店の配置も違います。まさしくパラレルワールド!
ところが寅さんだけが、全く同じ人間なのです。寅さんという人物は、どの世界で暮らしていても、あのままなのかなぁと感動してしまいました。
山田洋次さんと長山藍子さんがゲストで当時の話をしておられました。山田洋次さんはドラマに関しては監督ではなく、原案と脚本を担当されていました。裏話として話されていましたが、ドラマの脚本家として山田さんを指名されたのは渥美清さんだったそうです。
世間では映画の印象がありますから、「渥美清は山田洋次に見出された」と言われています。「でも事実は、私を世に出したのは渥美さんです」と山田洋次さんは言われていました。とても感動した裏話でした。
映画の第5作では、長山藍子さん、杉山とく子さん、そして井川比佐志さんが別の役で出演します。山田さんとしてはこの映画で終わりにしたかったらしく、ドラマのメインキャストに出演してもらったそうです。新旧の役者の競演ですね。パラレルワールドが融合したように思えてきます。
ところが予想以上に映画がヒットしてしまって、止められなくなってしまった、と苦笑されていました。私もよく憶えている第5作に、そんな意味があることを知りませんでした。
久しぶりに寅さんを見て心が和みました。モノクロなので、古いアルバムを眺めている気分でした。明晰夢で渥美清さんに会ったことを思い出します。きっと今もどこかを旅されているのかな。貴重なドラマを見ることができてよかったです。
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