世界の終わりは、自我の終わり
今週の後半は暖かくなるそうですが、今日はまだまだ寒い。冷たい季節風が吹く中を、いつもどおりに買い物に出かけました。
妻は朝一に美容院に行くとのことで、待っている間に私はカフェでリラックス。音楽を聴きながら、読書をしました。
JRの駅ビルのカフェなのですが、以前から試したいことがありました。それは外出先でのApple Musicです。ほとんど自宅のWi-Fiを利用しているので、まだ外で聞いたことがありません。でもキャリアの回線を使用すると、通信料が増加します。最低のギガ数で契約していますから、できる限りDocomoの電波を使いたくありません。
幸いなことに、この駅ビルではDocomo Wi-Fiが利用できます。だけどこのWi-Fiは少し通信速度が遅いので、音楽のストリーム再生がどの程度なのか確認したかったのです。
心配無用でしたね。自宅で使うのとまったく変わりなく、音楽を楽しむことができました。Docomo Wi-Fiは利用できる場所が多いので、通信料を気にすることなく外出先でも音楽を楽しめそうです。それ以外にスターバックスの無料Wi-Fiも登録していますから、そちらでも音楽を楽しめます。
携帯のキャリア各社は端末の実質0円を廃止しましたから、この先さらに割引率の高い契約が登場するはずです。この調子でWi-Fiを利用すれば、最低ランクの契約で十分に問題なさそう。昨年の9月に実質0円の恩恵はすでに受けていますから、さらなる料金の値引きを心待ちにしています。Docomoさん、よろしく〜〜!
さて、そのカフェで読んでいた本です。先ほど読了しました。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹 著という本です。
先日のブログで上巻を紹介しましたが、一気に下巻も読み終えました。この本は文庫本ですが、合わせて800ページほどの長編です。単行本でも多分600ページくらいにはなるでしょう。
この小説、凄すぎます。私の人生観や小説に対する概念を、ぐちゃぐちゃにシェイクして、根底からひっくり返された気分です。ここ数年で読んだ小説で、忘れることのできない作品になりました。村上春樹さんに対するこれまでの固定観念が、完全にぶっ飛びました。
以前に書いたように、『世界の終わり』と『ハードボイルド・ワンダーランド』という二つの小説で構成されています。それぞれに独立した小説として読むこともできますが、融合させることで想像を超える化学反応を起こします。
『世界の終わり』の舞台は、『ハードボイルド・ワンダーランド』の主人公である『私』の意識の中の世界なのです。ある脳科学者の実験によって、顕在意識と潜在意識に加えて、第3の意識が創造されました。それが『世界の終わり』の舞台になった場所です。
本来は顕在意識と第3の意識はパラレルワールドのように接点がありません。ところが『私』が持つ特殊能力によって、二つの世界が癒着してしまいます。顕在意識は物質的肉体が存在する世界ですから、肉体の死とともにその心も消滅します。でも第3の意識は、時間のない世界ですから不死の世界なのです。そしてその世界は『自我』が存在しません。自我の終わりは、現実世界の終わりです。ですから『世界の終わり』というタイトルがついているのでしょう。
この小説を、短いブログで語るのは無理です。気になる方は是非読んでください。有名な小説なので、読んだ方のほうが多いかもしれませんが。この小説が終わった先の『私』と『僕』がどうなったのかを考えると、苦しいほどに想像力が刺激されます。
『ハードボイルド・ワンダーランド』の『私』が、第3の意識について述べたセリフがあります。
「意識の底の方には本人に感知できない核(コア)のようなものがある。僕の場合のそれはひとつの街なんだ。街には川が一本流れていて、まわりは高い煉瓦の壁に囲まれている。街の住人はその外に出ることはできない。出ることができるのは一角獣だけなんだ。一角獣は住人たちの自我やエゴを吸いとり紙みたいに吸いとって街の外にはこびだしちゃうんだ。だから街には自我もなくエゴもない。僕はそんな街に住んでいる───ということさ。僕は実際に自分の目で見たわけじゃないからそれ以上のことはわからないけどね」
さすが世界の村上春樹さん。しばらく軽いショック状態が続きそうです。
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