あぁ、晩春になっちゃうよ
何、この天気!
今日は外出デーなのですが、朝から強い雨が降っていました。朝のブログを書いて外出しようと思っていると、午前10時半頃にニュース速報が入ってきました。神戸市に暴風・波浪警報が出たとのこと。
雨だけでも大変なのに、暴風ではどうしようもありません。外出は午後に回すことにして、そのまま仕事をしていました。そして昼食後、しばらくしてから雨がやんできたように感じました。このチャンスを逃しては、と妻と二人で自宅を出ました。
でも判断が甘かったようです。もう台風のような雨と風。近場で買い物をして帰ってきたのですが、傘をさしていても全身びしょ濡れ。傘が壊れなかっただけでもラッキーだと思えるほどの荒天でした。今気づきましたが、コウテンと入力すると、『荒天』と『好天』が出ます。正反対の意味なのに、同じ音なのですね。
何よりショックだったのは、2日前にはほぼ満開だった桜が散りまくっていたこと。完全に「花散らし」の雨になってしまいました。
近所の桜の木の下は、こんな状態でした。天気が安定していれば、神戸は週末まで桜を楽しめたのに残念。気分的には晩春になってしまったように感じます。
晩春という言葉は、立夏の前の5月の最初あたりに使うものだそうです。でも桜が散ってしまえば、なんとなく私の気分は晩春になっています。それは、昨晩にこの映画を観たせいかもしれません。
『晩春』という昭和24年に公開された映画です。原節子さんが主演で、監督は小津安二郎さんです。
いくつか小津作品を観ていますが、私が最も気に入った作品になりました。父親役は写真にもある笠智衆さん。原節子さん演じる娘の紀子と二人暮らしで、この時代では婚期が少し遅れている、という年齢の設定になっています。
小津さんの映画によくあるパターンですが、親を一人置いて嫁に行けないという娘の葛藤。そして自分は一人になったとしても、娘には幸せになってほしいと願う親の愛。そんな両者の姿を描いた作品です。
この映画で最も驚いたのは、戦後4年しか経っていない映画のなかの日本の風景です。東京は銀座でロケがされていましたが、戦争の傷跡をまったく感じません。映画の舞台の中心は鎌倉です。京都も登場しました。でもどのシーンも戦争の影響をまったく感じさせないのです。
戦後経済復興の起爆剤となった朝鮮戦争は、まだ1年先です。空襲で焼け野原となった町の復興も、まだまだ十分ではないでしょう。でもそんなことをまったく感じさせない日常が描かれてるのです。女性に対する結婚感等、男性優位の世界は残されたままの映画ですが、戦争の匂いを感じません。
ちょっと調べていると、公開当時は賛否両論があったそうです。日本的なものの復権を感じ取る観客と、戦後の現実からの逃避と見なす観客に分かれたそうです。なるほど、と思って納得しました。戦後生まれの私が見ても、公開年度を考えると違和感を覚えましたから。
でも映画としては良作だったと思います。ネガティブな部分を隠さずに見せる原節子さんの演技は、他の作品よりも好感が持てました。ラストで娘を嫁に出した笠智衆さんが、一人でため息をこぼしながらリンゴの皮をむくシーンには心打たれました。平凡なストーリーですが、とても素敵な映画でした。
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