P.S.アイラヴユー
朝から今にも雨が降りそうな空でしたが、傘をさすことなくいつもの買い物を済ませることができました。夕方になって外が白くもやっていますので、これから本格的に雨が降りそうです。雨が降る前の午前中、久しぶりに友人の顔を見ることができました。
ダンディくんで〜〜す。以前はまるで猫のように愛想なしでしたが、最近は声をかけると近くまで顔を見に来てくれます。彼にしてみれば、精一杯のあいさつなのでしょうね。
今朝のブログはお休みさせていただきました。おそらく今週いっぱい忙しいので、夕方のブログだけになると思います。順調に行けば土曜日の朝のブログは復活できるかもしれませんが、今のところどうなるかわかりません。
復活といえば、九州新幹線が全線再開されたとのこと。JR東日本や東海等も協力したそうですね。地震の被害を知ったときは、数ヶ月以内の復活は無理だと感じていました。いやはや凄い。本気になったときの日本人は素晴らしいですね。久しぶりに素敵なニュースを見ました。
さて、昨晩読了した本です。
『P.S.アイラヴユー』セシリア・アハーン著。林真理子 訳 と言う本です。
先日映画を観て、とても感動したので原作を読んでみました。映画の感想は『死者からのラブレター』という記事に書いています。
原作を読もうと思ったのは、もちろん映画が面白かったからです。でも最大の理由は、翻訳が作家の林真理子さんだということです。外国の小説を原語で読めればいいのですが、そうもいきません。ですから翻訳文が大切になってきます。ただ日本語を読むだけでなく、文章から何かを感じ取りたい。そう思って翻訳者を意図的に選んでいます。
さてこの原作ですが、はっきり言って映画より素晴らしい内容でした。世界的なベストセラーになったのがわかります。巻末のあとがきで、翻訳された林真理子さんが小説としての欠点を指摘されていました。それでも涙を流しながら読んだとのことです。その気持ちがよくわかります。
映画とはまったく違う物語だと言い切っていいと思います。映画の舞台はニューヨークですが、原作はアイルランドのダブリン。もちろん著者がアイルランド人だからです。そして大きく違うのは、亡くなった夫からのメッセージの届け方です。
映画では生前に依頼を受けた主人公のホリーの母親が、少しずつ手紙を娘の手に届くようにしていました。ところが原作ではまとめて10通のメッセージが残されています。夫のジュリーがなくなったのは2月。ですから3月から12月まで、月が変わるたびにメッセージを開くという約束になっていました。シチュエーションとして、この方法が原作ではとても効果的になっています。
そして映画ではホリー実の母が大きな影響を持ってきます。母は父と離婚して心に大きな傷を負っています。夫を亡くしたホリーとその母が、立ち直っていく姿が映画では描かれています。
ところが原作では両親はとても仲良く暮らしています。映画の母の役割を演じていたのは、長男のリチャードでした。失業したうえに、妻に追い出されて可愛い二人の子供と離れて暮らすことになります。ホリーはそんな兄と関わることで、自分を取り戻していきます。
映画のホリーは靴のデザイナーとして再出発しますが、原作は雑誌の編集者です。恋人候補だと思われるダニエルも映画とは違うパターンですし、ホリーの新しい恋の予感の相手もまったく違う設定です。
とにかくホリーだけでなく、他の登場人物のキャラが素晴らしい、生き生きとしています。ホリーの両親、兄のリチャード、ジャック、妹のキアラ、弟のデクラン、そして親友のシャロンとデニーズ。実在の人物のように、そのイメージがリアルな姿で物語にパワーを与えています。
私は映画のホリーとジュリーよりも、原作のホリーとジュリーが圧倒的に大好きです。もちろん他の人物たちも同じです。
原作のホリーは夫を失った痛手から完全に立ち直るわけではありません。亡き夫のメッセージをすべて実行しても、夜、ベッドで一人になると寂しくて泣きます。人生がつまらなく思え、朝起きるの苦痛になることもあります。仕事にいやけがさし、こんな世界に住みたくないと思うこともあります。
でもそれは誰も同じではないでしょうか? この世に残された人間は、人生を生きていかなければいけない。そのための原動力が、亡くなった愛する家族や友人と過ごした経験です。物語の最後はこう締めくくられています。
『でも、彼女にはたくさんの思い出があった。真の愛がどのようなものか知っている。そして今、新たな人生に踏みだし、新たな愛を経験し、新たな思い出を作る心の準備ができた。ふたたび恋をするまで十ヶ月かかるか十年かかるかわからないが、そのときはジュリーの言うように、心が導くままに従おう。それまでは一日一日を、精一杯生きていいくしかない。
そう、生きていくしかないとホリーはつぶやいた』
とても素敵な物語でした。オススメですよ〜!
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