神の域に達した悪女
梅雨入りして初めて梅雨らしい天気になったような気がします。今日は朝から雲が厚く、雨が降ったりやんだりの1日でした。でも涼しいので、自宅にいると快適に過ごすことができました。
梅雨というのは文字どおり、梅の実がなる時期に降る雨なのでそういう名前になったらしいです。そして昨日は梅の日だったそうで、偶然にも梅の実の写真を撮影していました。
妻が梅の実を見つけたのですが、ちょうどいい場所にテントウムシがいました。あまりに可愛かったので、ツーショットで撮らせてもらいました。この梅の木も、今日の雨でたっぷりと水を吸収しているでしょう。
さて、アメリカの大統領選挙は佳境を迎えているようで、民主党の指名はクリントンさんで決まりそうです。どうやら秋の選挙では、トランプさんとの一騎打ちになりそうですね。8年前の選挙では、オバマさんに負けて指名を獲得できなかったクリントンさん。アメリカ合衆国初の女性大統領が生まれるのかどうか、注目されるところです。
女性の政治家で頭に浮かんだのは、イギリスのサッチャー首相です。鉄の女と呼ばれた人です。最近ではドイツのメルケル首相も活躍されていますね。政治家である以上、きれいごとだけでは済まない経験をされているでしょう。でもあくまでも、法律の範囲内での怖さです。
ところが法を犯して人は殺すわ、騙すわ、利用するわ、という恐ろしい女性が主人公の小説を、昨晩に読了しました。
『幻夜』東野圭吾 著という本です。文庫本で800ページ近くある長編なので、読み終わるのに時間がかかりました。そして読みながら、あまりの恐ろしさに唖然とした作品です。
物語は1995年の阪神淡路大震災でスタートします。雅也という若い男性は、震災の前日に父の通夜をしてました。自殺だったので、最後に残ったのは叔父だけでした。その叔父も父親に貸した借金を取り立てるのが目的でした。ところが明け方に大地震がおきます。
柱に挟まれて動けなくなった叔父を、雅也は殺害してしまいます。借金返済を逃れるため、発作的で衝動的な犯行でした。ところがその瞬間をある女性に目撃されてしまいます。美冬というとんでもない美人です。そこから雅也の人生は大きく狂います。
美冬は雅也を警察に突き出すどころか、危機に陥った彼を助けます。そして二人で東京に出て、新しい人生を始めるのです。そこから美冬のサクセスショーが始まります。女性の武器を使って、次々と成功を収めていきます。その陰で、人生を棒に振ったり、命を奪われる男性がいます。美冬の成功のために手を汚していたのは、弱みを握られていた雅也でした。
それでも雅也は美冬を信じます。二人で幸せになろう、という言葉を頼りにして犯行を重ねていきます。もはや冷静に判断する能力を失い、単なる操り人形になっていました。ところがあることがきっかけで美冬の正体を知ります。本当の美冬は、震災で死んでいます。雅也の目の前にいるのは、美冬に成りすました別人でした。
さらに警視庁の加藤という刑事も美冬に目をつけます。何も証拠がないので、たった一人で彼女を調べます。そして本当の美冬は別人であることを知ります。この世でその事実を知っているのは、雅也と加藤だけでした。
そのままエンディングに突入しますが、予想していたとはいえ最後は口あんぐりでした。結果的に勝利するのは美冬でした。ドラマや映画にもなった作品らしいですが、知らない方は是非読んでみてください。ラストの後味の悪さはピカイチですよ〜〜!
解説を読みますと、この作品は『白夜行』という作品の姉妹作だそうです。その作品に、どうやら美冬の前の人生が描かれているようです。気になるので読んでみるつもりです。
とにかく面白い。そして怖い。美冬は完璧にサイコパスですね。自分の目的のためなら、他人はどうなってもいい。それこそが彼女にとって、最も優先されるべき信条なのです。相当ムカつく女性ですが、どこか憎めません。とんでもなくずば抜けた天才だからです。
先を読む力と強烈な実行力は、魔性のような魅力を持ってます。だから思わず引き寄せられます。悪魔もここまでくれば、神の域に達したと言っていいかもしれません。よくこんなキャラを創ったなぁと、東野さんの想像力に感動しています。
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